日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アグリッパ(Marcus Vipsanius Agrippa)
あぐりっぱ
Marcus Vipsanius Agrippa
(前63ころ―前12)
古代ローマの軍人、政治家。初代皇帝アウグストゥスの青年時代からの友人。共和政末の内乱期には、軍人として、内乱の行方を決定したナウロコス・アクティウムの海戦(前31)に艦隊を指揮し、勝利を得た。行政官としてはローマ市の水道、公衆浴場を建設し、ゲルマン系のウビー人を定住させ、今日のケルン市の基礎を築いた。帝政期には、皇帝に次ぐ地位を占め、アウグストゥスの娘ユリアと再婚した。コンスルを3回務め、護民官権限、上級のコンスル代理命令権を与えられ、皇帝の代理を務めたが、紀元前12年に病没。皇帝の命で世界地図を編纂(へんさん)させ、その注解を自ら執筆したことが知られる。
[島田 誠]