アグリコラ(Gnaeus Julius Agricola)(読み)あぐりこら(英語表記)Gnaeus Julius Agricola

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アグリコラ(Gnaeus Julius Agricola)
あぐりこら
Gnaeus Julius Agricola
(40―93)

古代ローマの元老院議員。フォルム・ユリイForm Julii(今日のフレジュス)に生まれ、ウェスパシアヌス帝のもとでコンスルまで昇進(77)したのち、総督としてブリタニア統治(77/78~84)。都市文明を導入して先住民の馴致(じゅんち)、隷属化を進める一方、北部への征服地拡大でも一時代を画した。その軍事行動は当初スコットランドを流れるフォース川以南に限られていたが、83年からはカレドニア高地地方侵略を開始。各地に基地を設け、カルガクスCalgacus指揮下の諸種族の抵抗を排してインバネス付近に達した。ローマ艦隊による初のブリテン島周航も彼の時代といわれる。ローマ帰還後、元老院議員、高官の処刑相次ぐドミティアヌス帝晩年の恐怖政治下、93年9月23日に病没した。女婿タキトゥス著の伝記がある。

[栗田伸子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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