アキノ3世(読み)アキノさんせい(英語表記)Aquino, Benigno, III

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アキノ3世」の意味・わかりやすい解説

アキノ3世
アキノさんせい
Aquino, Benigno, III

[生]1960.2.8. マニラ
フィリピンの政治家。大統領(在任 2010~16)。フルネーム Benigno Simeon Cojuangco Aquino III。ノイノイ Noynoyとも呼ばれる。母は元大統領のコラソンアキノ,父は政治指導者で 1983年に暗殺されたベニグノ・シミオン・アキノジュニア。1981年アテネオ・デ・マニラ大学で経済学の学士号を取得。卒業後は亡命中の家族と合流するためアメリカ合衆国へ向かった。1983年,父の暗殺後(→アキノ暗殺事件)帰国し,いくつかの企業に勤めたのち,1998年,自由党から政界に進出,下院議員を 3期務めた。この間の 2004年に下院副議長に就任したが,2006年,数々の不正・腐敗行為を非難されていたグロリア・マカパガル=アロヨ大統領に辞任を促すのに先立って副議長職を辞任。2006年から自由党の副委員長を務め,2007年に上院へ鞍替えし,当選を果たした。2010年大統領選挙に出馬し,ジョゼフ・エストラダ元大統領などの対立候補を抑えて勝利した。大統領在任中は,モロ・イスラム解放戦線 MILF(→モロ民族解放戦線)との和平合意の締結や,堅調な経済成長を実現した一方で,失業率は高止まりし,また,約 8000人が死亡し 80万人以上が避難した 2013年の台風への対応が遅れたことなどで,反対派から批判を受けた。南シナ海問題をめぐっては,常設仲裁裁判所に提訴するなど中国と対立する姿勢をとった。

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