アカバ(英語表記)al-`Aqaba

デジタル大辞泉 「アカバ」の意味・読み・例文・類語

アカバ(‘Aqaba)

ヨルダン南部の都市アカバ湾に面する。同国唯一の港湾であり、ソロモン王の時代から続く海上交通要所メッカ巡礼の中継地。第一次大戦中のアラブ反乱において、T=E=ローレンスらがオスマン帝国から同地を奪取した。近年紅海有数の海岸保養地になり、ダイビングなどのマリンスポーツも盛ん。

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改訂新版 世界大百科事典 「アカバ」の意味・わかりやすい解説

アカバ
al-`Aqaba

アカバ湾の最奥部にあるヨルダン唯一の港。北西国境をはさんでイスラエルの港市エイラトが隣接する。オスマン帝国時代には小村であったが,スエズ運河ヒジャーズ鉄道の建設により,交通上の要地となった。1917年オスマン帝国にたいして反乱を起こしたヒジャーズのシャリーフ,フサイン軍隊によって占領される。ヒジャーズがアブド・アルアジーズ・ブン・サウードに征服されると,トランス・ヨルダンのアブド・アッラーフ皇太子がアカバの権利を主張しこれを併合した。ヨルダンは,48年のパレスティナ戦争によって地中海沿岸の港を利用できなくなったため,アカバの開発を本格的に進め,60年代半ばには港の設備が完成し,73年には,年間約80万tの船荷を取り扱うまでになった。ヨルダンの主要な輸出商品であるリン鉱石積出港として重要である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカバ」の意味・わかりやすい解説

アカバ
Al-`Aqabah

ヨルダン南端の港湾都市。紅海に連なるアカバ湾の最奥に位置し,外海に通じるヨルダン唯一の港である。イスラエルとの国境 3kmのところにあり,イスラエルのエーラト港と相対している。ソロモン王の時代のエジオンゲベル港が北西に隣接し,ローマ時代には軍事基地で,アエラナと呼ばれた。第1次世界大戦のとき,T.E.ロレンス (アラビアのロレンス) が奇襲して占領した物語は有名である。アンマンなどの内陸部とは幹線道路によって結ばれている。第2次世界大戦中に港はイギリスの手によって改善されて発展し,1961年に外航船用施設が整備された。港はヨルダンだけでなく,シリアレバノンの紅海,インド洋への窓口として,重要な位置にある。空港もある。人口4万 6090 (1990推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカバ」の意味・わかりやすい解説

アカバ
あかば
‘Aqaba

ヨルダン南西部の港町。紅海の最奥部で、アラビア半島ヒジャーズ地方とシナイ半島に挟まれたアカバ湾の北端にある自然の良港。人口10万0700(2003推計)。海陸交通の要地で、かつて陸路でカイロからメッカに行く巡礼ルートの食糧補給地として重要であった。また、周辺を通過するアラブ系遊牧民の交易地であった、内陸国ヨルダンの唯一の海港で、近くにはイスラエルのエイラト港がある。1955年には新たに港湾設備が完成し、燐(りん)鉱石、カリ塩、野菜などを輸出する。

[原 隆一]

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