アカデミー辞典(読み)アカデミーじてん(英語表記)Dictionnaire de l'Académie française

改訂新版 世界大百科事典 「アカデミー辞典」の意味・わかりやすい解説

アカデミー辞典 (アカデミーじてん)
Dictionnaire de l'Académie française

フランス学士院Institut de Franceにおいて国語国文学の分野を担当し最古の歴史をもつアカデミー・フランセーズが,その主要な任務のひとつとして編集・発行してきた国語辞典(フランス語辞典)。初版はアカデミー発足以後60年の歳月を費やして完成し,1694年,国王ルイ14世に献じられているが,以後18~19世紀を通じてたびたび改版され(1718,1740,1762,1798,1835,1878),最後のものは1932-35年の第8版で,現在第9版を準備中である。初版は絶対主義国家発足の期にのぞみ,純化された言語としてのフランス語を教養ある人士に提示することを目的とした。のち語源的配列廃止,語彙の拡大等の手直しが加えられたが,言語の実状の記述よりも,むしろその規範の提示という基本方針は貫かれていると言ってよく,その意味で綴字法の規定がとくに大きな役割を果たしている。旧体制下では1762年版が,大革命以降では1835年版が,同時代の他辞典に比し充実した内容をもつものとして評価されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカデミー辞典」の意味・わかりやすい解説

アカデミー辞典
アカデミーじてん
Dictionnaire de l'Académie française

1635年創設されたアカデミー・フランセーズは,38年中央集権的専制国家の確立を意図する宰相リシュリューの要請により,フランス語の擁護,その純粋さの保持,慣用の確立など,フランス語に統制を加えることをおもな目的とした辞典の編纂を決定した。ボージュラシャプランが中心となり作業は進行したが,責任者ボージュラの死 (1650) 以後遅れが目立ち,94年にようやく第1版が刊行された。規則化されたフランス語が学問,教育の領域にも広がり,地方の方言が次第に消滅することになる。以後辞典の編纂はアカデミー・フランセーズの主要な事業として継続され,1932~35年に第8版が刊行されて今日にいたっている。

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