アカデミー・フランセーズ(読み)あかでみーふらんせーず(英語表記)Académie Française

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アカデミー・フランセーズ
あかでみーふらんせーず
Académie Française

フランス翰林院(かんりんいん)。フランス学士院Institut de Franceを構成する五つアカデミーのうちもっとも古くて権威がある。1635年に宰相リシュリューによりフランス語の保存と純化を目的として創設され、「不滅の人」ともよばれる40名の終身会員により構成される。物故者が出ると、立候補者のなかから全会員の投票で後継者を選定するが、当代の代表的文人学者が選ばれることが多い。『アカデミー・フランセーズ国語辞典Le Dictionnaire de l'Académie Françaiseの編集がおもな仕事で、1694年の初版以来第9版(1992)まで刊行されている。編集作業は毎週木曜日の定例会合で行われている。ほかに、1932年、1933年には文法書を出版したことがあり、また各種の賞の選考授与も行っている。歴代の会員には、レビ・ストロース、イヨネスコ、グリーン、セール、カレール・ダンコースHélène Carrère d'Encausse(1929―2023)らがいる。

[支倉崇晴]

『Jean-Paul CaputL'Académie Française(1986, Presses Universitaires de France, Paris)』

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大学事典 の解説

アカデミー・フランセーズ[仏]

ルイ13世の治世下,1630年前後から,詩人コンラールの家に文学者たちが集まっているのを宰相リシュリューが知り,これを公的な機関として保護することを望んだ。1634年にアカデミー・フランセーズが創設され,翌35年には国王の勅許状によって公式に設立された。動詞の活用や正書法なども確立していない当時の状況のなか,フランス語に確かな規準を与えることがその役割として示された。したがってフランス語辞書の編纂が主たる役割となるが,1694年の初版の刊行以降,1718年(2版),40年(3版),62年(4版),98年(5版),1835年(6版),78年(7版),1932-35年(8版)と版を重ね,現在9版(1巻1992年,2巻2000年,3巻2011年)が刊行中である。終身の会員数は40名で,欠員が生じた場合には,現会員による選挙(投票数の絶対多数)によって新会員が選出される。フランス学士院を構成する五つのアカデミーの一つ。
著者: 白鳥義彦

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百科事典マイペディア の解説

アカデミー・フランセーズ

フランス学士院の五つのアカデミーのうち最古のもの。1635年に時の宰相リシュリューの尽力で創立。定員40名で,終身制。会員は〈不滅の40人〉を呼ばれ,入会することはフランス国民の最高の栄誉とされる。フランス語の統一と純化を課題として,辞典を編集し,また毎年120にのぼる賞を授与している。
→関連項目クレールシュリ・プリュドムフランス語ユルスナール

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アカデミー・フランセーズ
Académie française

フランス学士院 Institut de Franceを構成する5つのアカデミーの一つ。 1630年頃から,文筆家や文学愛好者が,詩人コンラールの家に集って文学を論じていたのを,時の宰相リシュリューが聞き及んで,これを文芸一般の公共機関として保護することを思いついた。 34年規約が制定され,35年国王ルイ 13世の勅許状が下り,公式に発足。大革命期に一時解散したが,王政復古とともに復興,今日にいたっている。会員数は 40名に限られており,彼らは「不滅の人」と称される。欠員の生じた場合,全会員が候補者の資格,業績を審査,絶対多数を得たものを新会員とする。その時代の有名作家のアカデミー入会をめぐって,話題となることが多い。フランス語の純化をおもな任務とし,『アカデミー辞典』および文典を編纂している。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説

アカデミー・フランセーズ
Académie française

1635年リシュリューによって組織された文学の学士院。フランス語によるヨーロッパの文化的制覇という国家目的と結合していた。フランス革命後,他部門のアカデミーとともに,フランス学士院へ統合される。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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