アカアマダイ(読み)あかあまだい(英語表記)red tilefish

日本大百科全書(ニッポニカ)「アカアマダイ」の解説

アカアマダイ
あかあまだい / 赤甘鯛
red tilefish
[学] Branchiostegus japonicus

硬骨魚綱スズキ目アマダイ科に属する海水魚。日本産のアマダイ類中もっとも普通にみられる種で、別名はアマダイ。大阪ではクズナ、京都ではグジ、静岡ではオキツダイとよばれている。茨城県から九州の南岸の太平洋沿岸、青森県から九州西岸の日本海沿岸、東シナ海、台湾北部、黄海、南シナ海などに分布する。体は延長し、側扁(そくへん)する。体長は体高の3.7~4.0倍。頭は大きく、体長は頭長の3.2~3.4倍。頭部の外郭は急傾斜する。上下両顎(りょうがく)はほとんど水平か、わずかに斜めで、上顎の後端は瞳孔(どうこう)の前3分の1の下に達する。上顎には湾曲した円錐歯(えんすいし)があり、前方では2~3列で、後方では1列。下顎には円錐歯があり、前部では幅広い歯帯になる。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)と口蓋骨には歯がない。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の垂直部と水平部の角度は90~95度で、隅角(ぐうかく)部に切れ込みがない。鰓耙(さいは)は上枝に8~9本、下枝に14~15本。頭と体は櫛鱗(しつりん)をかぶり、頬(ほお)部の鱗(うろこ)は皮下に埋没して不明瞭(ふめいりょう)である。側線鱗数は45~53枚。背びれと臀(しり)びれは基底が長く、棘(きょく)部と軟条部の間に切れ込みがない。背びれは7棘15軟条、臀びれは2棘11~12軟条、胸びれは18~19軟条。体は桃赤色で、中央部の側面に数本の橙黄(とうこう)色の横帯がある。目の後方に下方に向かう三角形の銀白色の斑紋(はんもん)がある。背びれの起部から瞳孔(どうこう)の後縁上方までの背正中線上に暗褐色の細い線が走る。尾びれの上葉に5~6本の黄色の縦帯が走り、その下方は一様に灰青色である。水深60~300メートル、多くは75~130メートルの泥底、および貝殻や泥まじりの砂底にすみ、エビ類、シャコ類、魚類、カニ類、多毛類、二枚貝類などを食べる。

 産卵は初夏から晩秋にかけて岸近くの水深70~100メートルで行い、その時期は大形魚が小形魚より早い。体長によって性比が異なり、12~26センチメートルでは雌が多いが、27センチメートルになると雄が多くなり、32センチメートル以上では雄ばかりになる。卵は1個の油球をもつ分離浮性で、卵径は0.8~1.1ミリメートル。孵化仔魚(ふかしぎょ)は全長2.05ミリメートル。全長6.5ミリメートルの稚魚では頭部は多数の微小棘で覆われ、前鰓蓋骨の後縁に数本の長い棘が発達する。伸長した鰭条(きじょう)はみられない。稚魚はしばらくの間水深10~50メートルの層を浮遊している。全長30ミリメートルの大きさになると、突起や微小棘はほとんど消失する。1年で16~19センチメートル、2年で22~23センチメートル、3年で25~26センチメートル、4年で30センチメートルあまりに成長する。最大全長は雄では53センチメートル、雌では47センチメートルに達する。延縄(はえなわ)、底引網、釣り、漕(こ)ぎ刺網(さしあみ)などで漁獲されるが、漁獲量は減少傾向にある。旬は冬で、肉は白身で柔らかく、味がよいので高級魚として取り扱われ、塩焼き、粕(かす)漬け、照焼き、蒸し物、干物などにする。

片山正夫・尼岡邦夫 2020年12月11日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典「アカアマダイ」の解説

アカアマダイ

 [Branchiostegus japonics].スズキ目アマダイ科の食用海産魚.全長35cmになる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典内のアカアマダイの言及

【アマダイ(甘鯛)】より

…スズキ目アマダイ科Branchiostegidaeに属する日本産のシロアマダイ,アカアマダイ,キアマダイの総称。体型はよく似ているが,体色が異なっている。…

※「アカアマダイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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