アオダモ(読み)あおだも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アオダモ」の意味・わかりやすい解説

アオダモ
あおだも
[学] Fraxinus lanuginosa Koidz.

モクセイ科(APG分類:モクセイ科)の落葉小高木。コバノトネリコともいう。葉は対生し、小葉が5~7枚ある羽状複葉で、小葉は長楕円(ちょうだえん)形、長さ5~10センチメートルで先がとがり、縁(へり)に低い鋸歯(きょし)がある。4~5月、枝先に円錐(えんすい)花序になって細かい白色花が多数開き、雄花と両性花が別株につく。花弁は細く、4枚が離生し、両性花には雌しべ1本と雄しべ2本がある。果実は倒披針(とうひしん)形、長さ2.5~3センチメートルの翼果で、10月に熟す。山地に普通に生え、北海道、本州、四国、九州、千島南部、朝鮮南部に分布する。枝や冬芽、葉、花序などが無毛のものをアオダモ、粗毛のあるものをアラゲアオダモといって分けることがある。アオダモの「アオ」は、枝を切って水につけると水が青色蛍光を発するためといわれ、「タモ」はトネリコの一地方名である。材は辺材、心材とも淡褐黄色で、堅くて粘りが強いため野球用バット、ラケット枠、器具類に用いる。

小林義雄 2021年7月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アオダモ」の意味・わかりやすい解説

アオダモ
Fraxinus sieboldiana

モクセイ科トネリコ属の落葉樹。日本各地の山地,特にやや湿りけの多いところに生える。高さ 10~20mとなり,葉は大きな羽状複葉で,小葉は2~3対あり,小葉の先はとがる。初夏に枝先に多数の4弁の小花を円錐花序につけ,花後は翼のある果実となる。材は家具などに用いる。また水湿地に耐えるので,特に新潟県地方などでは水田あぜに植え,刈取った稲束を乾かす「はさ (稲架) 」に用いる。同属植物トネリコヤチダモ (谷地だも)などがある。

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世界大百科事典(旧版)内のアオダモの言及

【トネリコ】より

…中部地方から奥羽地方までの温帯の山間湿地に生える。トネリコとタモノキはともに平安時代から古書に残された名であるが,前者は今日のアオダモ類をさし,後者は地方によってはハルニレあるいはタブノキに当てられることもある。 トネリコ属Fraxinus(英名ash)は北半球に約70種があって,東アジア,北アメリカ,地中海地方に多い。…

※「アオダモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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