アイルランド語(読み)アイルランドご(英語表記)Irish

翻訳|Irish

精選版 日本国語大辞典 「アイルランド語」の意味・読み・例文・類語

アイルランド‐ご【アイルランド語】

〘名〙 インド‐ヨーロッパ語族ケルト語派言語アイルランド共和国国語であるが、近代以降英語に圧迫されている。五世紀にオガム文字Ogham)で書かれた碑文を始め豊富な資料がある。八世紀以降はラテン文字使用

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デジタル大辞泉 「アイルランド語」の意味・読み・例文・類語

アイルランド‐ご【アイルランド語】

インド‐ヨーロッパ語族ケルト語派に属する言語。アイルランド共和国の第1公用語アイルランドゲール語。→ゲール語

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改訂新版 世界大百科事典 「アイルランド語」の意味・わかりやすい解説

アイルランド語 (アイルランドご)
Irish

ヨーロッパに現存するインド・ヨーロッパ語族の中で,古典語を除き最も古い文献を有する言語の一つで,4~5世紀のオガムOgham文字による碑文にさかのぼる。なお,この文字は直線斜線の組合せからなる独特の文字である。古期アイルランド語(600-900)はほとんど宗教上の注解語彙からなっているが,中期アイルランド語(900-1200)にはおびただしい神話・伝説,口承文学写本が残っている。さらに近世初期(1200-1650)には古典的リズムに基づく詩作品が多く,よくケルト的伝統を伝えている。口語ではこの頃から方言分化があらわになってきたが,第2次大戦後新綴字法の採用(1948)による簡易化に伴い,方言的にもしだいに斉一化に向かうものと思われる。しかし語頭の緩音や鼻音化,動詞-主語-目的語の語順,また特異な屈折前置詞(代名詞と融合して数と人称に応じて変化する前置詞)の使用など,依然として古くからの特徴を保ち,類型的にも興味深い。12世紀以降アイルランド,特に東部地域ではながく英語との競合が続いたが,17世紀からは英語の勢力が強大となり,19世紀を通して今日までアイルランド語の使用人口は漸減をつづけた。教育,政治,経済を問わずいまでは一般に英語がアイルランド語に事実上とって代わっている。
ゲーリック語 →ケルト語派
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイルランド語」の意味・わかりやすい解説

アイルランド語
アイルランドご
Irish language

インド=ヨーロッパ語族のケルト語派に属する言語。スコットランド・ゲーリック語などとともにゴイデリック諸語をなす。最も古い時期の姿は,オガム文字の碑文にある程度うかがうことができる。5世紀にローマ字がアイルランドにもたらされ,以後の文献はローマ字で書かれている。古代アイルランド語は動詞の複雑な活用組織をよくとどめている。近世以後,次第に英語の勢力に押され衰退したが,現在,アイルランド共和国で公用語として教育・普及がはかられている。今日では約 100万人の話し手がいると報告されているが,アイルランド語を第1の母語とする者はそのうち約3万人とみられる。

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百科事典マイペディア 「アイルランド語」の意味・わかりやすい解説

アイルランド語【アイルランドご】

インド・ヨーロッパ語族のケルト語派に属するゲーリック語の一つ。スコットランド・ゲーリック語に近い。最古の資料はオガムと呼ばれる特殊な表記による5―6世紀ごろの碑文。その後に宗教上の文献が続き,中世にはすぐれた文学がある。アイルランド人は19世紀以後急速に英語化されたが,独立後復活運動が行われた。アイルランドの国語であるが,国民の大部分は英語を使用している。
→関連項目ゲーリック語

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世界大百科事典(旧版)内のアイルランド語の言及

【アイルランド】より

…正式名称=アイルランドÉire(エール=アイルランド語)∥Ireland(英語)面積=7万0285km2人口(1996)=359万人首都=ダブリンDublin(日本との時差=-9時間)主要言語=アイルランド語,英語通貨=アイルランド・ポンドIrish Poundヨーロッパ北西部,アイルランド島にある共和国。アイルランド共和国は憲法で全島を国土と規定しているが,現実にはイギリスに属する北アイルランドを除く島の約8割を統治している。…

※「アイルランド語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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