アイナエ(英語表記)mitre flower
Mitrasacme pygmaea R.Br.

改訂新版 世界大百科事典 「アイナエ」の意味・わかりやすい解説

アイナエ
mitre flower
Mitrasacme pygmaea R.Br.

マチン科の繊細な一年生雑草。路傍野原の少し湿った場所に生育する。茎は直立し,高さ5~20cm,細く,下部に集まってつく葉の葉腋ようえき)から枝を出す。葉は対生し,長卵形から楕円形で長さ5~20mm,通常3脈がある。花は細い花梗の先につき,白色で4裂する花冠と,4裂し,その裂片の先がとがる萼を有する。萼は宿存する。直径約1.5mmの実は,熟しても花柱が残っていて,その基部が裂開して,小さな種子を放出する。オーストラリアから東南アジアさらに西南日本に至る温暖な地域に広く分布するが,日本では特に多いものではない。よく似たヒメナエM.alsinoides R.Br.var.indica (Wight)Haraは,葉が小さく,狭く,茎全体につき,1脈しか目だたない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイナエ」の意味・わかりやすい解説

アイナエ
あいなえ / 藍苗
[学] Mitrasacme pygmaea R.Br.

マチン科(APG分類:マチン科)の一年草湿地に生える。葉は対生し小さく、卵形または長楕円(ちょうだえん)形で、茎の下部に3~4対つく。夏、茎の先に長さ2~10センチメートルの細い花茎を伸ばし、小さな花をまばらにつける。花は白色のコップ状で4裂する。蒴果(さくか)は卵円形で、先に下部が2裂した花柱が残る。本州以南、アジアからミクロネシアに広く分布する。名は、幼形がアイ若芽に似ることによるといわれる。近縁のヒメナエは線形の葉が茎全体につく。

山崎 敬 2021年5月21日]

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