アイアコス(読み)あいあこす(英語表記)Aiakos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイアコス」の意味・わかりやすい解説

アイアコス
Aiakos

ギリシア神話の人物。ゼウスニンフアイギナの息子で,アイギナ島(→エイナ島)の王となり,テラモンペレウスらの子をもうけた。ヘラによって国民を疫病で滅ぼされたアイアコスが,ゼウスに祈って島にいるアリを人間に変えてもらったのが,のちにトロイ戦争アキレウスの手兵として活躍するミュルミドン人起源であるという。死後は,ミノスラダマンチュスとともに冥府死者を裁く裁判官を務めているとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイアコス」の意味・わかりやすい解説

アイアコス
あいあこす
Aiakos

ギリシア神話の英雄。ゼウスとアソポス河神の娘アイギナとの子。サラミス王テラモンの父で、その子アイアス(大)は孫にあたる。非常に敬虔(けいけん)な人として知られ、生地アイギナ島の住民が疫病で全滅したとき、ゼウスは彼の信仰心に報いて蟻(あり)(ミュルメクス)を人間に変えてその島に住まわせ、彼らをミュルミドン人と名づけた。アイアコスは、干魃(かんばつ)のときゼウスに祈って怒りをなだめ、また神々を助けてトロヤ城壁を築いた。スキロンの娘エンデイスと結婚してテラモンとペレウス(アキレウスの父)の2子を、また海のニンフ、プサマテと交わってポコスを得、死後は冥界(めいかい)で死者を裁く者となった。

[小川正広]

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世界大百科事典(旧版)内のアイアコスの言及

【ペレウス】より

…ギリシア伝説で,テッサリア地方のフティア王。アイギナ島の王アイアコスAiakosの子。テラモンTelamōn(大アイアスの父)の兄弟。…

【ミノス】より

…彼はこの怪物を名匠ダイダロスに造らせた迷宮ラビュリントスに閉じ込め,息子アンドロゲオス殺害の償いとして毎年アテナイから送られる14人の少年少女を餌に与えていたが,怪物はやがてアテナイの王子テセウスに退治され,またダイダロスは人工の翼によって空からクレタ島を脱出したので,そのあとを追ってシチリア島に行き,同地の王コカロスKōkalosに殺されたという。以上はおもにアッティカ地方の伝承であるが,これとは別に,彼は最古の海軍の組織者で,海賊を平らげてエーゲ海全域を支配する一方,クレタ島に法を与えて善政を布いたので,同じく有名な立法者であった弟のラダマンテュスRhadamanthys,敬虔をもって知られた英雄アイアコスAiakosとともに,死後,冥界の裁判官になったとする伝承もあり,いずれも,かすかながら,彼の名にちなんでミノス文明とも呼ばれる先史時代のクレタ文明の最盛期の記憶をとどめるものと考えられている。なお,ミノスの名は王朝名または王の称号であったかもしれない。…

※「アイアコス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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