わく

精選版 日本国語大辞典 「わく」の意味・読み・例文・類語

わく【枠・籰・・篗・框】

〘名〙
① (籰・) 綛糸(かせいと)を巻きかえす道具。二本または四本の木を対にして、横木にうちつけ、中央部に軸を設けて回転するようにしたもの。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 器具・建具・窓などの周囲に組んだ細い材。
※足利本論語抄(16C)子路第十三「は竹てわくをして子を載する者そ」
③ 仕切り・境界・範囲などを示すために四方に引かれた線。また、そこに設けた施設。
歌舞伎盲長屋梅加賀鳶(1886)序幕返し「上手よしずをたたみし出茶屋の籰」
④ (ふつう「框」と書く) 物の形が変わったり乱れたりしないために使用する具。型。
※俳諧・類船集(1676)和「籊(ワク) 〈略〉三条五条の橋の敷石は籊をたよりとせり
⑤ 薄い板などを折り曲げて作った箱。折り箱。折り。
※歌舞伎・彩入御伽草(おつま八郎兵衛)(1808)序幕「おつま鰻を枠へ入れて客の前へ持って行く」
⑥ 馬の背に人を乗せるためにとりつける櫓。両脇に一つずつ、あるいはさらにもう一つ背につけたりする。
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)五「けふは枠(ワク)をもてこんわいの。〈略〉白子(しろこ)へ壱里半、かはりやってのっていかんせ」
堤防の水除け施設。木造の枠の中に石を詰めて造る。
地方凡例録(1794)九「大川の〆切等笈牛にて難保ものは、都て枠を用る」
コンクリートを流しこんで型をつくる箱形の板。
⑨ 印刷物で、印刷された部分を囲む線。
眼鏡で、レンズ以外の部分。レンズをはめ込み、耳にかける。フレーム
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一四「えい眼鏡ではないワ。鉄の欄(ワク)のついた麁末なもんじゃが」
⑪ 範囲。限界。制限。「予算の枠」「良識の枠」「法律の枠」
自然主義文学における「家」(1948)〈瀬沼茂樹〉一「『家』の枠(ワク)にはめられた家庭生活の上に演じられるいろいろな人間悲劇」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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