りんご酒(読み)りんごしゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「りんご酒」の意味・わかりやすい解説

りんご酒
りんごしゅ

りんご果汁を発酵させた酒で、軽い酸味のある淡黄褐色の酒である。フランス語でシードルcidre、英語ではサイダーcider(ただし、日本ではサイダーは清涼飲料水の一種をさす)。産地としてはフランスのノルマンディー地方、イギリスのブリストル地方、ドイツの一部の地方が有名である。スイス、北アメリカなどでもつくられる。日本でもわずかではあるが醸造されている。

 りんご酒の歴史は古く、一説によると北ヨーロッパに住んでいた古代アーリアンはすでにこれを飲んでいたという。またフェニキア人もこれをシェカールとよんでいたようで、シードルという語はここからきたものらしい。

[原 昌道]

製法

原料のリンゴは小粒でタンニンと酸の多いものがよく、生食用とは異なる品種が使われる。りんご酒にはソフトシードルとハードシードルがあり、前者はりんご果汁をそのまま発酵させ、炭酸ガスを含んだアルコール分3~5%の軽い酒で、冷やして若いうちに飲む。後者は補糖してから発酵させたもので、アルコール分9~12%で樽(たる)に貯蔵される場合もある。炭酸ガス注入の発泡性のものもある。

[原 昌道]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「りんご酒」の意味・わかりやすい解説

りんご酒
りんごしゅ
cidre; apple wine

りんごで造る酒。完熟したりんごをつぶして搾汁する。搾汁の糖の含有量は 12%を標準とし,糖の発酵によるアルコールの含有量6%弱程度。他の果実酒同様,発酵温度は 12~20℃,主発酵は培養酵母添加の場合で 24時間以内,自然発酵では2~3日後に始る。約2週間で主発酵が終ったところで滓 (かす) を取り,さらに 10~15℃で3~5ヵ月間再発酵させ,2回目の滓を取って清澄剤を加えて造り上げる。フランスが本場で,世界の生産量の過半を占める。

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