よな

精選版 日本国語大辞典 「よな」の意味・読み・例文・類語

よ‐な

(間投助詞「よ」「な」の重なったもの) 文節末に添えて、語調を整え、また、聞き手に軽く働きかける。
狭衣物語(1069‐77頃か)二「音に聞きし天稚御子(あめわかみこ)をさへ見しよな」
平家(13C前)二「是はよな、娑竭羅龍王の第三の姫宮胎蔵界の垂跡也」

よな

〘名〙 火山噴煙とともに噴き出される灰。火山灰
二百十日(1906)〈夏目漱石〉三「『よなが沢山降って参りますたい』『よなた何だい』『灰で御座りまっす』」

よ‐な

助動詞「ようだ」の連体形「ような」の変化したもの。
※浄瑠璃・卯月の潤色(1707頃)中「此よな時節でも」

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デジタル大辞泉 「よな」の意味・読み・例文・類語

よ‐な[連語]

[連語]
終助詞「よ」+終助詞「な」。文末に用いる》念を押し、確かめる意を表す。…(だ)よね。「君も行くよな」「確かにそう言ったよな
《間投助詞「よ」+間投助詞「な」》
相手に言い聞かせるように言う意を表す。…だな。
信業のぶなりを招いて申さうずるやうは―、…と申せ」〈平家・二〉
㋑(多く文末にあって)感動詠嘆を表す。…なあ。…ことよ。
木立きだちと言ふらん―」〈今昔・二八・八〉

よな[名]

火山の噴煙とともに噴き出される灰。火山灰。九州阿蘇地方でいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「よな」の意味・わかりやすい解説

よな

熊本県の阿蘇(あそ)山中(なか)岳が噴出する細粒の火山灰の通称。しばしば山腹山麓(ろく)に多量に降り、草木農作物を害し、それを食べる牛馬も下痢や流産をする。茎や葉にセメントのように付着し、かつ、硫酸、塩酸、フッ酸などの可溶性成分に富むためである。堆積(たいせき)したよなは、豪雨、長雨、雪解けなどで崩壊し、濁流が下流域に惨害を与えやすい。1953年(昭和28)6月、阿蘇山から流出した白(しら)川の濁流で熊本平野一帯は泥土の原と化した。

[諏訪 彰]

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世界大百科事典(旧版)内のよなの言及

【阿蘇山】より

…有史以後の噴火活動は中央火口丘の一つである中岳火口からの噴火に限られていて,西暦553年からの噴火記録が残されている。おもに赤熱噴石を火口から噴出するストロンボリ式噴火を繰り返し,長期間継続して多量の火山灰(熊本地方の方言では〈よな〉と呼ぶ)を放出するものである。たび重なる火山灰の降下は農作物などに甚大な被害を与えてきた。…

※「よな」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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