ゆくゆく

精選版 日本国語大辞典 「ゆくゆく」の意味・読み・例文・類語

ゆく‐ゆく

〘副〙 (多く「と」を伴なって用いる)
① 心が落ち着かず定まらないさまを表わす語か。
万葉(8C後)二・一三〇「丹生(にふ)の河瀬は渡らずて由久遊久(ユクユク)と恋ひいたき吾が背いで通ひ来(こ)ね」
遠慮のないさま、他をはばからないさま、心のままであるさまを表わす語。
源氏(1001‐14頃)賢木何事にかはとどこほり給はむ、ゆくゆくと宮にもうれへ聞え給ふ」
③ 滞りなく物事の進行するさまを表わす語。ずんずん。どんどん。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「御腹はゆくゆくと高くなる」
[補注]①の「万葉」の例は古来難解とされ、諸説がある。「ゆくらゆくら」と関係のある語と見られるが、③と同意であるとする説もある。また、②以下は「ゆくりか」と関連するともいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ゆくゆく」の意味・読み・例文・類語

ゆく‐ゆく

[副]
とどこおることなく物事が進行するさま。どんどん。ずんずん。
「御腹は―と高くなる」〈宇津保・国譲下〉
遠慮のないさま。はばからないさま。
「―と宮にも愁へ聞こえ給ふ」〈・賢木〉

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