やす

精選版 日本国語大辞典 「やす」の意味・読み・例文・類語

やす

〘助動〙 (活用は「やせやしょ)・やし・やす・(やす)・〇・やせ(やし・やす)」)
[一] 活用語の連用形に付き、軽い敬意親愛の意を表わす。…なさる。お…になる。また、終止形、あるいは「お…やす」の形で、軽い敬意を含んだ命令を表わす。…なさい。
狂言記・内沙汰(1660)「まづ此太刀を、はきやす」
[二] 活用語の連用形に付き、丁寧の意を表わす。近世前期上方では多く遊女が使用、後期は上方語・江戸語で一般化した。
浄瑠璃心中重井筒(1707)上「三貫目や五十両はかしてやって下さいやせと」
[語誌](1)成立については、「おはす」からとも「ます」からとも説かれるが、動詞連用形に付いて敬意を表わす「あります」の転じた「やります」が「やんす」に、さらに「やす」に変化したとみる説が穏当だろう。
(2)(二)の丁寧語としては、「ます」に比べ、聞き手に対する敬意は低い。
(3)終止形(連体形)は、近世、上方では「やする」ともいう。「金かしてくだんせ。頼やする」〔博多小女郎波枕‐長者経〕など。

や・す

〘自動〙 (活用は、終止形の例を見るだけで、明らかではない) 「で…やす」の形で、補助動詞として用いる。→でやす

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デジタル大辞泉 「やす」の意味・読み・例文・類語

やす[助動]

[助動][やせ|やし|やす|(やす)|(やせ)|やせ(やし)]《近世語》動詞の連用形、断定助動詞「だ」の連用形「で」に付く。
動作者への軽い敬意を表す。…なさる。
「これでもあがりやし」〈洒・通言総籬
話し相手への丁寧の意を表す。…ます。
朧月おぼろづきと五色丹前を買って参りやした」〈洒・辰巳之園
[補説]1は、近世前期の上方で用いられ、2は近世後期の上方、また、江戸で用いられた。終止形・連体形に「やする」もみられる。

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百科事典マイペディア 「やす」の意味・わかりやすい解説

やす

水中魚介類を突き捕らえる漁具。先のとがった鉄具に木または竹製の柄を付けたもの。金属のない時代には鹿の骨などが用いられた。鉄具は1〜数条のものがあり,3条以上のものには並列のものと鼎(かなえ)足状のものとがある。エソ,クロダイ,カレイ,タコ,ナマコ,イセエビ,マテガイなど磯近くの魚介をとる。→(もり)
→関連項目漁具

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「やす」の意味・わかりやすい解説

やす
やす / 簎

雑漁具に属する漁具。魚などを刺してとる漁具で、先端が鋭くとがった金属部分と、木または竹製の柄の部分からなる。金属部分は一本のものから数本を叉(さ)状にしたものもあり、またカエシのあるものとないものとがある。やすの歴史は古く、石器時代の貝塚からも動物の骨でつくられた先端部分が発見されている。磯(いそ)や浅海に生息するカレイ・ヒラメ類、ボラ、クロダイ、タコ類、イセエビ、アワビなどの漁獲に使用されている。

[吉原喜好]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「やす」の意味・わかりやすい解説

やす

漁具の一種。突刺す鉄製の先端部と,竹や木などの柄からできており,構造はきわめて単純。先端部は鋭くとがって3~4本に分れており,突刺した魚がはずれないように逆鉤をつけたものが多い。やすによる漁法は,銛 (もり) ,鉾 (ほこ) ,鑿 (のみ) などの刺突具によるものとして,雑漁法に含まれるが,潜水漁のような原始的なものから捕鯨漁や潜水器漁のような進んだものにまでわたる。

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デジタル大辞泉プラス 「やす」の解説

やす

高知県香南市にある道の駅。国道55号に沿う。

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