ものなら

精選版 日本国語大辞典 「ものなら」の意味・読み・例文・類語

もの‐なら

連語〙 (名詞「もの」に断定助動詞「だ」の仮定形「なら」の付いたもの)
[一] 具体的に言うならの意から転じて、「どうせ」「どっちみち」の意。
浄瑠璃・大経師昔暦(1715)上「物ならたった廿日の間、お気遣なされますな」
[二] 活用語の連体形を受け、仮定条件を表わす。多く、望ましくない結果をひき起こすような条件や不可能であると思われるような条件に用いる。
① 「…ものなら」の形で動詞連体形を受け、現在のことを仮定する。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「出来るものなら三毛の代りに」
② 「…たものなら」の形で動詞連用形を受け、過去のことを仮定する。
※化銀杏(1896)〈泉鏡花〉一二「二三度干物でも遣ったものなら、可ことにして、まつはって、からむも可けれど」
意志推量の助動詞「う(よう)」の連体形を受けて、ある事態が起きることを仮定する。
滑稽本浮世床(1813‐23)二「一晩泊ってでも皈(けへ)らうものなら、それこそ大騒動

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ものなら」の意味・読み・例文・類語

ものなら[接助]

[接助]形式名詞「もの」+断定の助動詞「だ」の仮定形「なら」から》動詞・動詞型助動詞の連体形に付く。
(可能の表現に付いて)実現が不可能だと思われる事柄を仮定的に示す意を表す。…ならば。「別れられるものなら別れたい」「逃げられるものなら逃げてみろ」
(「うものなら」「ようものなら」「まいものなら」の形で)もし実現したら、好ましくない事態が起こる場合を仮定的に示す意を表す。…としたら。「うそをつこうものなら、とんでもない目にあうぞ」「うっかり捨てようものなら、どやされるぜ」
[補説]「ものなら」は「ものならば」の「ば」が省略された形で、うちとけた話し言葉では「もんなら」となる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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