精選版 日本国語大辞典 「め」の意味・読み・例文・類語

〘接尾〙
人名または人を表わす名詞、あるいは対象とする物事を表わす語に付けて、これをののしり、卑しめていうのに用いる。
平家(13C前)四「その仲綱めに鞍おいてひきだせ」
自分の名、または自分ないし自分に関連する物事を表わす語に付けて、卑下していうのに用いる。
幸若・築島(室町末‐近世初)「かの修行者がむすめは、かう申家かぬめが妻女にて候が」
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)五「下拙の私めの相方のおやまさんは」

〘係助〙 「も」に相当する上代東国方言。
万葉(8C後)二〇・四三四五「我妹子(わぎめこ)二人我が見し打ち寄(え)する駿河嶺らは恋(くふ)しく米(メ)あるか」

(推量助動詞「む」の已然形) ⇒めかもめやめやはめやも

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デジタル大辞泉 「め」の意味・読み・例文・類語

め[係助]

[係助]《上代東国方言》係助詞」に同じ。
我妹子わぎめこと二人我が見しうちする駿河のらはくふしく―あるか」〈・四三四五〉

め[助動]

[助動]《推量の助動詞「む」の已然形》⇒[助動]

め[五十音]

五十音図マ行の第4音。両唇鼻音の有声子音[m]と母音[e]とから成る音節。[me
平仮名「め」は「女」の草体から。片仮名「メ」は「女」の末2画から。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「め」の意味・わかりやすい解説

五十音図第7行第4段の仮名で、平仮名の「め」は「女」の草体から、片仮名の「メ」は「女」の初めの2画からできたものである。万葉仮名には甲乙2類あって、甲類に「賣、馬、面、迷、謎、綿(以上音仮名)、女(訓仮名)」、乙類に「米、昧、梅、妹、毎(以上音仮名)、目、眼(以上訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(女)」「(免)」「(面)」「(馬)」「(目)」「(妻)」などがある。音韻的には/me/で、両唇を閉じた唇内鼻音の[m]を子音にもつが、「せみ―せび(蝉)」「つめたい―つべたい(冷)」などのように、語によっては[b]と子音交替する場合もある。上代では甲乙2類に仮名を書き分けるが、これは当時の音韻を反映したものと考えられる。

[上野和昭]

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