めまい(眩暈)(読み)めまいげんうん(英語表記)(Dizziness)

家庭医学館 「めまい(眩暈)」の解説

めまいげんうん【めまい(眩暈) (Dizziness)】

めまいとは
 静止している周囲のものが、いろいろな方向に動くように感じたり、直立の姿勢を保とうとしても、それが困難な状態がめまいです。
 人間が、直立姿勢を維持できたり、歩いたりできるのは、からだの平衡(へいこう)を保持する機能が備わっているからです。
 この平衡保持にかかわっているのは、内耳(ないじ)の前庭系(ぜんていけい)(三半規管(さんはんきかん)、耳石(じせき))、視器(しき)(目)、深部知覚(しんぶちかく)(関節(かんせつ))などです。これらの器官は、からだの平衡保持のセンサーとしてはたらき、小脳(しょうのう)や大脳(だいのう)を介してお互いに密接に協力し合っています。これらの器官のどこかに障害がおこると、めまいが生じます。
◎めまいの種類と原因
 めまいは、空間認識の感覚異常と姿勢保持の異常とに分けることができます。
 これはさらに、真性しんせい)めまい、平衡失調(へいこうしっちょう)、仮性(かせい)めまいの3つに分けることができます。
■真性(しんせい)めまい
 回転感、浮動感(ふどうかん)のほか、上下・前後などへ動くように感じる、などのなんらかの運動感をもっためまいを、真性めまいといいます。
 この真性めまいは、自分または周囲がグルグル回ると感じる回転性(かいてんせい)めまいと、浮動感、動揺感(どうようかん)を中心とする非回転性(ひかいてんせい)めまいとに分けることができます。
 回転性めまいは内耳や中枢(ちゅうすう)(小脳、脳幹部(のうかんぶ))の急激な障害でおこり、吐(は)き気(け)、嘔吐(おうと)などの自律神経(じりつしんけい)症状をともなうことが多いものです。
 回転性めまいがおこってくる内耳の障害としては、メニエール病(「メニエール病」)、前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)(「前庭神経炎」)、良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい(「良性発作性頭位めまい症(良性頭位めまい)」)、内耳炎(ないじえん)(「内耳炎/ウイルスによる内耳障害」)、突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)(「突発性難聴」)が原因になります。中枢の障害としては、小脳・脳幹部の出血梗塞(こうそく)(脳出血(のうしゅっけつ)(「脳出血(脳溢血)」)、脳梗塞(のうこうそく)(「脳梗塞(脳軟化症)」))などの血管障害が原因になります。
 非回転性のめまいは、急性期を過ぎた内耳の病気で現われます。また、聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)(「聴神経腫瘍」)、小脳腫瘍(しょうのうしゅよう)など、ゆっくりと進行する中枢の病気でもおこります。
■平衡失調(へいこうしっちょう)(平衡障害(へいこうしょうがい))
 からだの平衡がとりにくく、不安定な感じがする状態を、平衡失調(平衡障害)といいます。平衡失調は、つまずきやすい、歩きにくい(歩行障害)などで現われます。
 内耳では、両側の前庭機能に高度な障害がおこると、平衡失調を生じます。
 中枢では、聴神経腫瘍(「聴神経腫瘍」)、脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)(「脊髄小脳変性症」)などの障害で、平衡失調がおこります。
 また、長期間、病気で寝たきりの状態にあったり、下肢(かし)(脚(あし))の筋肉が弱ったりしても、スムーズに歩けなくなり平衡失調と似た状態になりますが、これはめまいとはいいません。
■仮性(かせい)めまい
 頭やからだがふわっと浮いた感じになる、立ちくらみがおこる、頭から血がひく感じになる(眼前暗黒感(がんぜんあんこくかん))、一瞬、意識が薄れる感じなどを覚えるなどが、仮性めまいです。
 平衡機能には異常がないめまい感で、低血圧(「低血圧(症)」)、神経調節性失神(しんけいちょうせつせいしっしん)(「神経調節性失神」)、高血圧(「高血圧(症)」)、自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)(コラム「自律神経失調症」)などのときにおこります。
◎受診する科
 めまいが心配であれば、耳鼻科を受診しましょう。めまい外来を設置している病院もあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android