むれ肉(読み)むれにく

精選版 日本国語大辞典 「むれ肉」の意味・読み・例文・類語

むれ‐にく【むれ肉】

〘名〙 肉質が異常に軟化した肉。色が淡く、肉質は弾力がなく水っぽい。味はわるく、加工品にも適さない。ふつう豚肉の場合にいう。ふけ肉とも。

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改訂新版 世界大百科事典 「むれ肉」の意味・わかりやすい解説

むれ肉 (むれにく)

肉色の淡いこと,保水性結着性の悪いこと,筋肉組織が軟弱で弾力を失っていることなど,肉製造に際して加工特性がきわめて悪い肉のことで,PSE(pale soft exudative)肉,ふけ肉ともいわれる。豚肉とくにそのロース肉やもも肉に多発する。この肉は,と殺直後は一見正常であるが,死後硬直(10~24時間)後に発現する。むれ肉の発生は,産肉性が高く飼料要求が少ないブタ品種をつくり出すことに専念した結果,ストレスに対して感受性の高いブタが多くなったことに起因する。すなわちストレスにより,と殺後の筋肉の解糖作用が異常に速く進行し,乳酸が急激に蓄積されるのでpHも急激に低下するため筋タンパク質に変性が起こって発生すると考えられている。むれ肉の防止対策としては,(1)ストレスに対する感受性と産肉性は遺伝的な要因が多いので,産肉性は多少犠牲にしても,ストレスに抵抗する品種・系統をつくり出す,(2)ブタは高温に対してストレスを起こしやすいので,一度にあまりたくさん輸送しないようにして,高温や喧騒を起こさせないようにする,(3)輸送前に水を十分飲ませる,(4)と畜場での安静を図り,と殺の方法を改良してストレスを起こさせないようにする,ことなどが考えられている。と殺後1時間のpHの値の異常に低いもの,すなわちpH5.8以下のものは肉製造の原料肉として使用しないほうがよい。
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栄養・生化学辞典 「むれ肉」の解説

むれ肉

 ふけ肉ともいう.いずれも俗称.異常肉の一つで,肉にしまりがないこと,弾力がなく軟らかいこと,ねばりがなく肉汁が分離すること,色が悪いことなどが特徴

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