むつ(市)(読み)むつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「むつ(市)」の意味・わかりやすい解説

むつ(市)
むつ

青森県北東部、下北半島(しもきたはんとう)の中央に位置する市。北は津軽海峡、南は陸奥(むつ)湾の一部大湊湾(おおみなとわん)に面す。1959年(昭和34)田名部(たなぶ)、大湊の2町が合併して市制施行、大湊田名部市となり、1960年むつ市改称。2005年(平成17)、下北郡川内町(かわうちまち)、大畑町(おおはたまち)、脇野沢村(わきのさわむら)を編入。JR大湊線、国道279号、338号、394号が通じる。恐山(おそれざん)山地の大尽(おおづくし)山、屏風(びょうぶ)山が連なり、田名部川流域に耕地が開け、市街地がある。

 中心の田名部は、近世、盛岡藩の代官所が置かれ、物資の集散も盛んで、下北半島の中心的位置を占めてきた。1871年(明治4)斗南藩(となみはん)(旧、会津藩)の藩庁が置かれた。田名部川河口の大湊には安渡湊(あんどみなと)、大平湊(おおだいらみなと)があり木材の積出し港として栄えた。1905年(明治38)大湊海軍要港部が置かれ、以後軍港として発展し、第二次世界大戦後は海上自衛隊基地となった。1967年原子力船「むつ」の母港となり、佐世保(させぼ)港での放射線漏れ事故処理後ふたたび入港し、原子炉凍結のまま係留されていたが、1988年1月、津軽海峡に面した新母港関根浜に移された。産業は農林業のほか肉牛の飼育、水産業ではイカ漁、ホタテ養殖などが行われる。常念寺の木造阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)は国指定重要文化財。宇曽利山湖や恐山の外輪山などは下北半島国定公園域。面積864.12平方キロメートル、人口5万4103(2020)。

横山 弘]

『『大湊町誌』『田名部町誌』復刻版(1980・むつ市)』


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