ぽっくり病(読み)ぽっくりびょう

精選版 日本国語大辞典 「ぽっくり病」の意味・読み・例文・類語

ぽっくり‐びょう ‥ビャウ【ぽっくり病】

〘名〙 健康な日常生活を送っていた者が、ある日突然、原因不明のまま急死する病気。二〇~三〇代の男性に多い。原因については明らかではない。
人蟻(1960)〈高木彬光〉シャロック・ホームズの手紙「ぴんぴんしていた人間一晩うちに、ぽっくり死ぬから、俗にポックリ病というのです」

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デジタル大辞泉 「ぽっくり病」の意味・読み・例文・類語

ぽっくり‐びょう〔‐ビヤウ〕【ぽっくり病】

壮健な青年期の男性が、夜間に突然うめき声を発して急死する病気。心臓などに異常は認められず、原因は不明。

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改訂新版 世界大百科事典 「ぽっくり病」の意味・わかりやすい解説

ぽっくり病 (ぽっくりびょう)

ぽっくり死,原因不明の急性心臓死あるいは青壮年急死症候群ともいわれている。解剖検査を行っても死亡原因の不明な,青壮年の急死を指す。日本において,第2次世界大戦後に監察医務院制度が実施されるようになって,原因不明の急死例がかなりあることが判明し,これにぽっくり病の名がつけられた。外国でも同様のものがあると報告されているが,症例は少ないようである。ぽっくり病はほとんど20歳代から30歳代の青壮年にみられ,男性に圧倒的に多く,女性の14倍である。5~7月に多発し,夜間に多く,午前0~6時,とくに午前2~4時に集中して発生するものである。死亡の経過は,突然にうなり声を発したり,痙攣けいれん)がみられたり,異常な呼吸状態がみられたのちに急死するという。発作時に揺り起こされ,〈恐ろしい夢を見た〉といって,再び眠り,死亡した例もあるという。死亡の原因としては,一種の急性心機能不全とされてきたが,心停止よりも呼吸停止が先行する窒息であるという説もある。現在のところ,死亡の原因は解明されておらず,原因不明の内因性急死のなかにはいるものである。ぽっくり病によくみられる死体所見としては,胸腺肥大,心臓の肥大,大動脈起始部の幅の狭小,冠状動脈の発育異常,副腎皮質の厚さが薄いことなどがあるが,これらの所見もなく,溢血点(いつけつてん),血管内血液の流動性,内臓の鬱血(うつけつ)といった,単なる急死の所見のみのこともある。この青壮年にみられるぽっくり病に対応して,乳幼児の原因不明の内因性急死があり,乳幼児急死症候群といわれている。
急死
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百科事典マイペディア 「ぽっくり病」の意味・わかりやすい解説

ぽっくり病【ぽっくりびょう】

健康で正常な日常生活を営んでいた人が,多くは深夜睡眠中にうなり声を発して突然死するもの。急性心臓死に似るが,病理解剖によっても心臓その他の主要臓器に死因を説明し得る病変がみられない。東京都監察医務院の調査,命名によるもので,15〜30歳に多く,男女比14:1。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぽっくり病」の意味・わかりやすい解説

ぽっくり病
ぽっくりびょう

健康な状態にあると思われている人が,主として深夜睡眠中に突然大声でうなり,手足を伸ばしたまま急死することがあり,その死亡が突然なので,この名がある。ことに 20~30歳代の男子に多い。死因はほとんどの場合不明。季節的には5~7月が最も多い。剖検上,冠動脈奇形や副腎の異常が認められることがしばしばある。

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