ひょっと（読み）ヒョット

精選版 日本国語大辞典

ひょっ‐と

〘副〙

① その事態が必ずしも意図したものでないことを表わす語。

(イ) 思いがけず。偶然。ふと。ちょっと。

※土井本周易抄（1477）四「ひょっと巷の路次なんどでより合て」

(ロ) うっかり。考えなく。

※天理本狂言・痩松（室町末‐近世初）「そなたは、よふみしりまらしたが、ひょっとみわすれて、れうじな事いたいた」

② ありうる事柄を仮定して、または危惧して述べるのに用いる語。もしも。万一。ひょっとして。ひょっとしたら。ひょっとすると。

※浄瑠璃・心中刃は氷の朔日（1709）中「もしひょっとしに病請たり共」

③ 物が軽く突き出るさまを表わす語。

※史記抄（1477）三「低歟とすれはひょっと高ぞ」

④ ＝ひょい

※珍太郎日記（1921）〈佐々木邦〉一〇「手の平に載せた嵯峨あられをヒョッと手の甲を叩いて口の中へ飛び込ませてゐた兆木さんは」

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

ひょっ‐と

［副］
１ 不意に。思いがけず。また、うっかり。「ひょっと立ち上がる」「ひょっと口に出す」
２ もしかして。万一。
「あなたは―、佐藤と云う男を知っちゃ居ませんか」〈風葉・青春〉
３ 物が突き出たり飛び出たりするさま。
「額の―出たも、かづきの着ぶりがよいものなり」〈浮・胸算用・二〉
[類語]はしなくも・ゆくりなく・あいにく・折あしく・折もあろうに・はしなく・思わず・思わず知らず・うっかり・知らず知らず・無意識・覚えず・我知らず・何気無し・つい・ついつい・我にもなく・うかうか・うかと・不覚・不用意・不意・ふと・思いがけず・図らずも・図らず・ふいと・急・ひょっこり・打ち付け・ぶっつけ・にわか・出し抜け・突然・唐突・短兵急・急遽きゅうきょ・忽然こつぜん・俄然・突如・いきなり・ふっと・ついと・つと・ひょい・はた・やにわに・時ならず・忽たちまち・卒然・突発的・発作的・反射的・藪やぶから棒・青天の霹靂へきれき・寝耳に水・万一・たとえ・たとい・もし・仮に・もしか・よしんば・よしや・もしも・万一ばんいち・万が一・万万一・もしや・もしかしたら・もしかすると・ひょっとすると・ひょっとしたら・ひょっとして・あるいは・もしかして・どうかすると・下手すると・一つ間違えば・ことによると・あわよくば・まかり間違う・よもや・まさか・万万ばんばん・夢か現うつつか・思いも寄らない・思いのほか・心外・案に相違する・意表を突く・意表・予想外・意想外・まぐれ・ひょんな・ゆくりなし・期せずして・悪くすると・事と次第による・事によると・ともすると・ややもすれば・何かにつけ・何かと言えば・折に触れて・もしくは・はたまた・ないし・偶然・たまさか・時として・かも知れない・慮外・存外・望外

出典　小学館