にたり

精選版 日本国語大辞典 「にたり」の意味・読み・例文・類語

に‐・たり

(完了の助動詞「ぬ」の連用形に完了の助動詞「たり」の付いたもの) 動作作用が完了して、そのままの状態にあることを表わす。にてあり。…てしまっている。…ている。
万葉(8C後)一八・四〇八〇「常人の恋ふといふよりは余りにてわれは死ぬべくなり爾多良(ニタラ)ずや」
源氏(1001‐14頃)若菜下「夜昼思しなげくにほれぼれしきまで御顔も少し面(おも)やせ給にたり」

にたり

〘副〙 (「と」を伴って用いることもある) 声をたてないで表情で笑うさま、うす気味悪い笑いを顔に浮かべるさまを表わす語。にたにた。
※俳諧・玉海集追加(1667)二「にたりにたり笑ふやあやめかきつばた〈一之〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「にたり」の意味・読み・例文・類語

にたり[副]

[副]声を出さずに、薄気味の悪い笑いを浮かべるさま。「にたりと笑う」「にたりとする」
[類語]にたにたにっとにこにこにっこりにこりにこやかにやにやにやりにんまりくすくすくすりくつくつ莞爾かんじくっくっとうふふえへらえへらえへへいひひあははにかっとからから薄笑い忍び笑い盗み笑い嘲笑ちょうしょう冷笑嗤笑ししょうあざ笑う薄笑うせせら笑う鼻で笑う

に◦たり[連語]

[連語]《完了の助動詞「ぬ」の連用形+完了の助動詞「たり」》…てしまっている。…てしまった。
そこら年頃、そこらのこがね給ひて、身をかへたるがごとなり―◦たり」〈竹取

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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