な‐・らし
(
断定の
助動詞「なり」に
推量の助動詞「らし」の付いた「なるらし」の変化したもの)
① 推量的な断定を表わす。…であるらしい。…であると思われる。
※
万葉(8C後)一七・四〇〇一「
立山に降り置ける雪を
常夏に見れども飽かず神から奈良之
(ナラシ)」
※俳諧・奥の
細道(1693‐94頃)最上川「是に稲つみたるをや、いな船といふならし」
②
近世の
文語の
用法として、推量の意味を失い、「なり」の断定をやわらげた表現として用いる。
※宗長百番連歌合(1508)「右は、ぬれて
時雨にの詞もさる事にて、句の様もやさしく侍るならし」
[
補注]
一説に「なり」が形容詞的に活用したものともいう。ただし、語形変化の例がなく、すべて文終止に用いられている。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「ならし」の意味・読み・例文・類語
な◦らし
[連語]《断定の助動詞「なり」の連体形「なる」に推量の助動詞「らし」の付いた「なるらし」の音変化》
1 …であるらしい。
「すむ人もあるかなきかの宿―◦らしあしまの月のもるにまかせて」〈新古今・雑上〉
2 …である。…だなあ。
「難波のくれは鳥織留むる物―◦らし」〈浮・織留・序〉
[補説]一説に、「なり」が形容詞ふうに活用したものともいう。2の用法は鎌倉時代以後の用法。
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