ならい旋盤(読み)ならいせんばん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ならい旋盤」の意味・わかりやすい解説

ならい旋盤
ならいせんばん

ならい削りを行う旋盤。複雑な形状部品製作するとき、その形状の型をつくり、トレーサーをこの型の形状に追従するようにならわせながら工具に送り運動を与えて型の形状と同じものを削り出す方法をならい削りといい、この装置を取り付けた旋盤をならい旋盤という。普通旋盤にならい装置を取り付けたものと、ならい削り専用二つがある。一般機械部品の量産あるいは複雑な曲面形状をもつ部品の加工に使用されていたが、現在は、数値制御工作機械が使われるようになり、あまり使われなくなっている。

[中山秀太郎・清水伸二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ならい旋盤」の意味・わかりやすい解説

ならい旋盤
ならいせんばん
copying lathe

実物またはその模型に沿って接触子 (スタイラス) を誘導し,この触針と連動する工具によって型どおりの形状,寸法に切削する (ならい削り) ための装置 (ならい装置) をもった旋盤をいう。普通旋盤の送り台に装備したものと,当初から専用旋盤として製作されたものがある。以前は油圧サーボにより制御されたが,今日的には電子サーボによって制御される。複雑な形状をした部品 (タービン翼車など) ,または同一形状の部品を多数加工する場合に有効であるが,最近では数値制御旋盤に取って代られることが多い。

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百科事典マイペディア 「ならい旋盤」の意味・わかりやすい解説

ならい旋盤【ならいせんばん】

〈ならい装置〉によって型やモデルの形をバイトに伝え,これと相似な形に工作物を切削する旋盤。段付面,テーパー,曲面などをもつものの製作に適する。油圧式,電気式,空気油圧併用式などによるフィードバック自動制御の原理を応用した方式がある。数値制御工作機械の登場によって現在では用いられない。
→関連項目旋盤

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世界大百科事典(旧版)内のならい旋盤の言及

【旋盤】より

…また,主軸台移動型のいわゆるスイス型自動盤もある。(4)その他 重量が大きな工作物を加工するため主軸が垂直になっている立旋盤,振動をできるだけなくしてダイヤモンドバイトによる精密加工が行えるようにしたダイヤモンド旋盤,フライスやホブなどの工具を加工する工具旋盤,バイトを型に沿って案内する機械的ならい装置のついたならい旋盤(数値制御を利用したNC旋盤の出現により,現在ではあまり用いられなくなっている),外径が大きくて長さの短いものを加工する正面旋盤,圧延用のロールを加工するロール旋盤などがある。また,特定の部品を加工するものとしてクランク軸旋盤,車輪旋盤などもあり,小型の旋盤として卓上旋盤も作られている。…

※「ならい旋盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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