な‐な
[1] (完了の
助動詞「ぬ」の
未然形に、
願望の
助詞「な」の付いたもの) 自己の行為につき、ひたすらに願望する意を表わす。…てしまいたい。…てしまおう。
※
万葉(8C後)二・一一四「秋の田の
穂向の寄れる片寄りに君に寄り奈名
(ナナ)言痛(こちたく)ありとも」
[2] (打消の助動詞「ず」の古い未然形「な」の重複形) …ずにありつつ。…ずに。…ないで。
※万葉(8C後)一四・三四三六「しらとほふ小新田山の守る山の
末枯(うらが)れせ奈那
(ナナ)常葉にもがも」
[
補注](二)は、上代東国方言として現われる。未然形「な」と助詞「に」の
結合とみる説もある。諸例とも、
終止でなく接続するものと解することができるので、下の「な」を願望の助詞とする説はとりがたい。
な‐な
〘副〙 (
副詞「な」を、重ねて強めたもの) 「そ」を伴って用いる。…するな。…してはならない。
※歌謡・閑吟集(1518)「卯の花がさねなな召さいそよ、月にかがやきあらはるる」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「なな」の意味・読み・例文・類語
な‐な
[連語]
1 《上代東国方言》活用語の未然形に付く。…ないで。…ずに。
「我が背なを筑紫へ遣りて愛しみ帯は解か―あやにかも寝も」〈万・四四二二〉
[補説]前の「な」は打消しの助動詞「ず」の古い未然形。後の「な」については、打消しの助動詞「ず」の古い未然形、または終助詞、あるいは助詞「に」の音変化した「な」などとする説がある。万葉集の東歌にだけみられる。
2 《完了の助動詞「ぬ」の未然形+終助詞「な」。上代語》活用語の連用形に付く。…てしまいたい。…てしまおう。
「秋の田の穂向きの寄れる片寄りに君に寄り―言痛くありとも」〈万・一一四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
普及版 字通
「なな」の読み・字形・画数・意味
【】なな
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報