どろん(読み)ドロン

デジタル大辞泉 「どろん」の意味・読み・例文・類語

どろん[副]

[副]空気液体などが重くよどんでいるさま。「どろんとよどんだ沼」「どろんと濁った目」
[類語]陰る曇る霞む掻き曇るぼやける暈ける掠れるぼんやり朦朧ぼうっと不透明見えにくいほのかかすかほんのりうっすらおぼろげうすうす淡いよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い木暗い小暗がり真っ暗暗然冥冥ぼやっと不鮮明もやもやほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視

どろん[名]

[名](スル)
急に姿を隠すこと。「借金を残してどろんする」
歌舞伎で、幽霊が出るときや消えるときに連打する大太鼓。どろどろ。
[類語]出奔駆け落ち逐電家出高飛び夜逃げ都落ち食い逃げ乗り逃げ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「どろん」の意味・読み・例文・類語

どろん

[1] 〘名〙
① =どろどろ(二)
※歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)三立「よき所にて、どろんになり」
② (━する) 姿を隠すこと。逃げて姿をくらますこと。
浄瑠璃・契情小倉の色紙(1840)今宮「そんならおれは新家(しんけ)へいてどろんで居やんしょ」
[2] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① (一)①の囃子で打つ太鼓の音を表わす語。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)三立「此時ドロンと音して、惟喬が持(もっ)たる鏡へ、筋隈の顔写る」
② 姿をくらますさまを表わす語。
朝野新聞‐明治一六年(1883)八月一日「何つの間にかドロンと消え失せたる」

どろん

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる) 「とろん」より重く濁った感じで用いる。
① =とろん
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉七「星許り取り残されて夫すらも判然とは映らぬ瞬くも嬾き空の中にどろんと溶けて行かうとする」
② =とろん
※それから(1909)〈夏目漱石〉六「どろんとした眼を上げて」

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