日本大百科全書(ニッポニカ) 「とん税」の意味・わかりやすい解説
とん税
とんぜい
とん税法(昭和32年法律37号)に基づいて外国貿易船の開港への入港に対して課される国税で、流通税の一種である。納税義務者は、原則として外国貿易船の船長である。課税標準は純トン数であり、税率は入港ごとに1トン当りいくらという形で規定されている。ただし、1トン当り一定額を一度に納付すれば、その港においては1年間とん税を収めることを要しない。なお、海難その他やむをえない事故のため入港した船舶に対しては課されない。
とん税の沿革は古く、1857年(安政4)に調印されたオランダやプロシアとの追加条約において徴収されることになった船税にまでさかのぼり、翌58年のアメリカ、オランダ、イギリス、フランスとの修好通商条約の貿易規定に基づく入出手数料制度、1890年(明治23)に施行された税関法による入港手数料および出港手数料制度を経て、99年には噸税(とんぜい)法が制定され、内外船に対して入港船舶の登録トン数1トン当りあるいは積み荷10石当り一定額が徴収されることになった。1957年(昭和32)には噸税法の全面的改正が行われてとん税法となり、さらに同年には特別とん税法も制定され、とん税は特別とん税とあわせて徴収されるようになった。
[林 正寿]