つれない

精選版 日本国語大辞典 「つれない」の意味・読み・例文・類語

つれ‐な・い

〘形口〙 つれな・し 〘形ク〙
① 表面何事もなげである。表面に出さない。そしらぬふうである。つれもなし。
万葉(8C後)一〇・二二四七「秋の田の穂向の寄れる片寄りに吾は物思ふ都礼無(ツレなき)ものを」
② 人の心をくもうともせず、ひややかである。情け知らずだ。無情だ。つれもなし。
古今(905‐914)恋二・六〇一「風ふけば峯にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か〈壬生忠岑〉」
歌舞伎お染久松色読販(1813)大切「ヱヱ、つれない久松さん」
③ なんの変わりもみえない。なんの影響もうけない。また転じて、なんのへんてつもない。退屈である。
伊勢物語(10C前)七五「岩間より生ふるみるめしつれなくは潮干潮満ちかひもありなん」
④ 思うにまかせない。意のごとくにならない。
※古今(905‐914)雑上・八九八「とどめあへずむべも年とはいはれけりしかもつれなく過ぐるよはひか〈よみ人しらず〉」
周囲の事情にかまわず、鈍感である。厚顔である。
平家(13C前)八「恥あるものは討死し、つれなきものは落ちぞゆく」
つれな‐げ
〘形動〙
つれな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「つれない」の意味・読み・例文・類語

つれ‐な・い

[形][文]つれな・し[ク]
思いやりがない。薄情である。冷淡である。「―・い態度」「―・い仕打ち
そしらぬふりをするさま。よそよそしい。
白露の上は―・く置きゐつつ萩の下葉の色をこそ見れ」〈後撰・秋中〉
思うにまかせない。
「かかる御消息にて見たてまつる、返す返す―・き命にも侍るかな」〈桐壺
何事もない。なんの変化もない。
「岩間より生ふるみるめし―・くは潮干潮満ちかひもありなむ」〈伊勢・七五〉
鈍感である。厚顔無恥である。
「恥ある者は討ち死にし、―・き者は落ちぞ行く」〈平家・八〉
[派生]つれなげ[形動]つれなさ[名]
[類語](1)(2けんけんつんけんつんつん意地悪邪慳じゃけんそっけないすげないよそよそしいにべないけんもほろろ冷たい気がない刺刺とげとげしい・取り付く島も無い・ぎすぎすぶっきらぼうつっけんどんむげにぷいとむしゃくしゃかんかんぷりぷりぷんぷんかちんかっかかりかりかっとぷんとつんと意地悪いないがしろ白い目で見るかろんずる

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