つがる(市)(読み)つがる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「つがる(市)」の意味・わかりやすい解説

つがる(市)
つがる

青森県西部、津軽(つがる)平野の中央部から北西部に位置する市。2005年(平成17)、西津軽郡木造町(きづくりまち)、森田村(もりたむら)、柏村(かしわむら)、稲垣村(いながきむら)、車力村(しゃりきむら)が合併して市制施行、つがる市となった。西は日本海に面し、海岸線は七里長浜(しちりながはま)とよばれる。中心部は岩木(いわき)川流域に開けた津軽平野で、市域の南部をJR五能(ごのう)線、国道101号が通る。津軽平野は寛文(かんぶん)年間(1661~1673)と元禄(げんろく)年間(1688~1704)に、弘前(津軽)藩による新田開拓が行われて稲作地が広がった。木造地区では防風林を設け、砂丘を固定させるなどして開拓が進められた。十三(じゅうさん)湖の南方にあたる車力地区では岩木川の氾濫や山田川の逆流による塩水害などに悩まされた。

 明治期にリンゴ栽培が始まり、米作とリンゴ栽培が主産業となる。1878年(明治11)に古坂乙吉が植栽した日本最古といわれる西洋リンゴ3本が柏地区に残る(県の天然記念物)。第二次世界大戦後、干拓事業により土地改良が行われ、砂丘地帯では畑地化が進み、スイカメロンキュウリカボチャなども栽培。典型的な日本海型気候で、夏季は稲作や夏秋野菜の作付けに適しているが、冬季降雪が多く、また地吹雪のため交通が途絶することもあり、近年は過疎化が進んでいる。亀ヶ岡石器時代遺跡(かめがおかせっきじだいいせき)は縄文晩期の遺跡で国指定史跡。遮光器土偶(国指定重要文化財)の出土で知られる。2021年(令和3)にはユネスコ(国連教育科学文化機関)により「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産(亀ヶ岡石器時代遺跡)として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。七里長浜は津軽国定公園の一部。面積253.55平方キロメートル、人口3万0934(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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