ぜ
〘終助〙
文末において
活用語の
終止形を受け、自分の発言内容を
聞手におしつける
気持を表わす。親しみがあると同時に、ぞんざいな
感じがあるので、現代では
目上に対して用いず、また、ふつう女性も用いない。
※
当世書生気質(1885‐86)〈
坪内逍遙〉二「早くいかないと、賄
(まかなひ)の食
(めし)を喰ひ損ふぜ」
[語誌](1)
終助詞「ぞ」に終助詞「え」の付いた「ぞえ」から「ぜえ」を経て、
江戸で
安永(
一七七二‐八一)頃成立した。
上方での使用は、
江戸語の影響を受けるようになった
寛政(
一七八九‐一八〇一)頃からとされる。
(2)「です」「ます」などの丁寧語と
故意に重ね用いると、すごみや
軽侮を伴いつつも自己を低くとらえた
ニュアンスが出たりもする。
ぜ
※
万葉(8C後)二〇・四三四六「
父母が頭かき撫で幸
(さ)くあれて言ひし言葉
(けとば)是
(ゼ)忘れかねつる」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「ぜ」の意味・読み・例文・類語
ぜ[終助]
[終助]《終助詞「ぞ」に終助詞「え」の付いた「ぞえ」の音変化》活用語の終止形に付く。
1 親しみを込めて軽く念を押す意を表す。「一服しようぜ」「うまくいったぜ」「明日までに頼んだぜ」
2 相手を脅したり、高慢に見下して注意を喚起したりする意を表す。「どうなっても知らないぜ」「つまらんことは言わないほうがいいぜ」
[補説]近世後期、江戸語から用いられた。男性語で、ややぞんざいな感じを伴う。
ぜ[五十音]
「せ」の濁音。歯茎の有声破擦子音[dz]と母音[e]とから成る音節。[dze]
[補説]清音「せ」に対する濁音としては、本来、歯茎の有声摩擦子音[z]と母音[e]とから成る音節[ze]が相当するが、現代共通語では一般に[dze]と発音する。しかし、[ze]とも発音し、両者は音韻としては区別されない。古くは[ʒe](あるいは[dʒe][dze])であったかともいわれる。室町時代末には[ʒe]であったが、近世以降[ze]からさらに[dze]に変じた。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例