すっかり

精選版 日本国語大辞典 「すっかり」の意味・読み・例文・類語

すっかり

[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 思いきってするさま、滞りのないさまなどを表わす語。すっぱり。さっぱり。きっぱり。すっきり。
狂歌古今夷曲集(1666)一「帰る間に古郷の花の散たらばあちらこちらですっかりぞせん」
※洒落本・吉原源氏六十帖評判(1737)「此君は道中のよそほひあまりすっかりとし給ふゆへ、すげなきよふにみゆるとは」
② =すかり②〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 身長が高く、かっこうのいいさまを表わす語。すらり。
※天草本伊曾保(1593)尾長鳥孔雀の事「ヲスガタヲ ミマラスレバ テアシモ succarito(スッカリト) カルゲニ」
姿態、服装など、外見が粋で見ばえのするさまを表わす語。きりり。
随筆・独寝(1724頃)上「妾といふ字は、見てもなでがたらしくすっかりと見へて」
※人情本・春色恵の花(1836)二「すっかりとめかして、おいらに見せよふと思ってサ」
⑤ すらりと体をかわすさまを表わす語。
浄瑠璃・妹背山婦女庭訓(1771)道行「鑓先揃へて突き出だす。ひらり早業すっかり素鑓」
⑥ 残るところなくすべてにわたるさまを表わす語。ことごとく。まったく。
※歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚(1809)三立「刀を鞘ながら抜き、振り廻して『すっかりと、払ってくれろ払ってくれろ』」
牛肉馬鈴薯(1901)〈国木田独歩〉「僕は全然(スッカリ)まいっちまいました」
[2] 〘名〙
① すべて。全部
※桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉一四「『私なぞには解りませんけど好きでございますわ。』『その布の色なぞが?』『ええ。━布もでございますが、画のすっかりが』」
② まったくない状態
紙風船(1925)〈岸田国士〉「『金は持ってるかい。』『それがもう、すっかりなの。』」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「すっかり」の意味・読み・例文・類語

すっかり

[副]
残るもののないさま。ことごとく。「金庫の金がすっかりなくなる」「仕事すっかりかたづく」
完全にある状態になっているさま。まったく。「からだはもうすっかりよい」「すっかり春だ」
すがすがしいさま。さっぱり。きっぱり。すっぱり。
「―として、よいお子でおます」〈洒・色深猍睡夢〉
難がなく、見ばえのするさま。すっきり。
「かの後家といふは、―とした上しろもの」〈滑・膝栗毛・八〉
[類語](1凡て全く何もかもことごとくなべて悉皆しっかい残らず余すところなく漏れなく逐一ちくいちそっくり洗いざら一から十までくまなく根こそぎ虱潰しあまねく満遍ない万事一切一切合財丸ごとごっそりすっぽりいちいち細大漏らさず何でもかんでも根掘り葉掘りそっくりそのまま全部徹頭徹尾残り無く通じて総じてつぶさにこぞって丸丸身ぐるみ全一ぜんいつ全的全面的軒並み一通り一渡りごそっと一つ一つおよ有りと有る有りとあらゆる全容全貌おんぶにだっこオールラウンドすることなすこと何から何まで一部始終全体裏表網羅丸きり丸っきりあるがまま一揃ひとそろ一式十把ひとからげひとまとめありったけ総なめ/(2とっぷりくれぐれ釣瓶つるべ落とし本に本当まことに実に真に全くまさにまさしくひとえにせつげに現にほとほとつくづく全く以て何とも実以て真実真個真正正真しょうしん事実実際紛れもない他ならない有りのまま現実そのものしん以てかみ掛けてほんま正真正銘いかにも

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android