しんかい6500(読み)しんかいろくせんごひゃく

百科事典マイペディア 「しんかい6500」の意味・わかりやすい解説

しんかい6500【しんかいろくせんごひゃく】

海洋科学技術センター(1971年設立)所属の有人潜水調査船。全長9.7m(改造前9.5m),空中重量26.7トン(改造前25.8トン),最大速力2.7ノット(改造前2.5ノット)。直径2mの耐圧殻内に,研究者1名を含む3名の乗員を乗せ,6500mの深海まで潜航できるという世界有数の能力を持つ。海面から深度6500mまでの所要時間は約2.5時間。マニピュレーターなどの作業機器と,CCDカラーやTVカメラなどの観測装置を備え,最大3ノットで海中を移動しながら,さまざまな観測・調査を行う。1989年に着水し,1991年より支援母船よこすか(全長105m,総トン数4469トン)とともに,さまざまな調査ミッションに参加。以来1991年,三陸沖日本海溝プレート裂け目を発見したのを皮切りに,数々の成果を上げている。2007年,潜航1000回達成。2012年に建造以来最大の改造を行い,性能が向上した。→深海潜水艇
→関連項目インターリッジ計画

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「しんかい6500」の意味・わかりやすい解説

しんかい6500
しんかいろくせんごひゃく

海洋科学技術センター(現、海洋研究開発機構)が開発した6500メートル級有人潜水調査船。フランスの「ノチール」(最大潜航深度6000メートル)などを超え、世界一の潜航能力をもつ。全長9.5メートル、最大幅2.7メートル、高さ3.2メートル、空中重量25トン、潜航時間は通常9時間(非常時129時間)。乗組員は操縦者2名と観測者1名。支援母船は「よこすか」。1981年(昭和56)完成の2000メートル級潜水調査船「しんかい2000」の後をうけ、1989年(平成1)完成、1991年から日本海溝などの本格調査に入った。1993年度から開始された海嶺(かいれい)探査プロジェクトでは、東太平洋での観測を行った。1994年6月より大西洋中央海嶺で調査を行い、プレート境界の一つであるトランスフォーム断層の活動跡や、黒い熱水を噴き出すブラックスモーカーなどを確認している。なお、無人深海探査機としては、1万メートル級の「かいこう」がある。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「しんかい6500」の意味・わかりやすい解説

しんかい6500
しんかいろくせんごひゃく

海洋科学技術センター (→海洋研究開発機構 ) が開発した 6500m潜水調査船 (建造所は三菱重工業神戸造船所) 。 1989年 11月完工。正式名称は,6500meter deep manned research submersible"SHIN KAI 6500"。長さ,幅,高さそれぞれ 9.5m,2.7m,3.2m。空中重量 26t。内径 2.0mの耐圧殻に3ヵ所ののぞき窓をもつ。乗員数は3名。最大航走速力は3ノット。 6500mの潜航または浮上に 2.5時間を要し,全行程は通常9時間。観測機器などは「しんかい 2000」とほぼ同様であるが,ガラス製グラスのような壊れやすいものもつかめるロボットハンド深海生物岩石を傷つけずに採取でき,300m先まで見通すことができる音響映像装置 (観測ソーナー) も搭載している。支援母船『よこすか』とともに有機的かつ効率的な深海調査システムを構成する。

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