さらし粉(晒粉)(読み)さらしこ(英語表記)bleaching powder

世界大百科事典 第2版 「さらし粉(晒粉)」の意味・わかりやすい解説

さらしこ【さらし粉(晒粉) bleaching powder】

漂白粉,カルキともいう。次亜塩素酸カルシウムを有効成分とする白色粉末で,アルコールや水によく溶ける。塩素に似た刺激臭を放ち,次亜塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウムなどとともに強い酸化漂白作用をもつ。そのため,さらし粉は一般に漂白剤,殺菌剤として用いられる。さらし粉の主成分の組成Ca(OCl)2・CaCl2・2H2Oであり,この純粋な物質の酸化作用を営む有効な塩素量は48.9%であるが,実際の工業製品にはCa(OCl)2,CaCl2,Ca(ClO3)2,H2Oからなる固溶体と消石灰が含まれるため,有効塩素量は33~38%で,日本薬局方,食品添加物およびJIS1級では,30%以上含むことと規定されている。

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世界大百科事典内のさらし粉(晒粉)の言及

【次亜塩素酸カルシウム】より

…さらし粉以外の漂白剤の原料ともなり,分析化学の標準液としても用いられる。晒(さらし)粉【曾根 興三】。…

【テナント】より

…イギリスの工業化学者・企業家。漂白工から身をおこし,化学工場を経営した。1774年K.W.シェーレが塩素を発見し,次いで85年にC.ベルトレは,塩素溶液の漂白力に注目し,布の漂白剤として用いたが,液体のため輸送が困難であった。そのような状況にあってテナントは漂白剤の製造に従事し,99年塩素を消石灰に通じることによって粉末化に成功し,漂白業に革命をもたらした。彼はすぐにこの漂白粉(さらし粉)の製造に関する特許を得て,この製造工場をセント・ロロックスにつくった。…

【漂白剤】より

…漂白に使用される化学試剤。漂白剤は対象物に含まれる有色物質と化学反応を起こし分解ないし変化させ無色物質にする作用をもつが,大きく分けて酸化反応を利用するものと還元反応を利用するものがある。そのほかに染色工業で使用される白さを増すための蛍光増白剤があるが,これは目的は類似しているが漂白剤とは区別すべきである。
[酸化性漂白剤]
 さらし粉は代表的な酸化性漂白剤で,主成分はCa(ClO)2・CaCl2・2H2Oである。…

【滅菌】より

…微生物の生細胞を殺すことを殺菌といい,滅菌とは非病原菌,病原菌,細菌胞子もすべて殺すことをいう。一般には同じように用いられている消毒とは,病原微生物を殺すことを意味する。消毒・滅菌法には物理的方法と化学的方法がある。
[物理的方法]
 最も簡単な方法は焼却法で,汚染された繊維製品,衣類,紙類などに用いられる。煮沸法は,適当な容器に水を入れ,そのなかに金属,ガラス製品などを入れ,沸騰したらそのまま20~30分沸騰を続ける。…

※「さらし粉(晒粉)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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