さしゃんす

精選版 日本国語大辞典 「さしゃんす」の意味・読み・例文・類語

さしゃんす

〘助動〙 (活用は「さしゃんせ・さしゃんし・さしゃんす・さしゃんす・さしゃんすれ・さしゃさんせ」。尊敬助動詞「さしゃる」の連用形に、丁寧の助動詞「ます」の接続した「さしゃり(れ)ます」の変化した語。一説に、助動詞「さしゃる」に、丁寧の助動詞「んす」の付いた語という) 四段・ナ変動詞以外の未然形に付き、尊敬の意を表わす。…なさいます。…しゃんす。語幹が単音節の動詞には「やしゃんす」が付く場合がある。
評判記難波鉦(1680)四「さる人がおしへさしゃんしたわいの」
浄瑠璃・心中天の網島(1720)中「なふ旦那殿、起きさしゃんせ」
[語誌](1)近世上方を中心として用いられ、はじめ遊女語であったが、元祿享保一六八八‐一七三六)頃には女性一般にも使われるようになった。
(2)「ます」の語性が残存するので、動作者が他称の場合は、聞手に対する敬意を含むのが普通であるが、聞手が対等以下の場合にも使用することがある。対称の動作に使用する場合は、「さしゃる」より高い尊敬を表わす。

さしゃん・す

〘他サ特活〙 (活用は助動詞「さしゃんす」に同じ。助動詞「さしゃんす」がサ変に接続した「せさしゃんす」の意に用いた語。ただし、「せさしゃんす」の例は見られない) 「する」の意の尊敬の意に、話相手に対する敬意の加わった語。なさいます。漢語などに接続して複合動詞を作ることがある。
※評判記・難波鉦(1680)六「わが身にさやうのことなどさしゃんすなや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「さしゃんす」の意味・読み・例文・類語

さしゃんす[助動]

[助動][さしゃんせ(さしゃんしょ)|さしゃんし|さしゃんす|さしゃんす|さしゃんすれ|さしゃんせ]《尊敬の助動詞「さしゃる」の連用形「さしゃり(れ)」に丁寧の助動詞「ます」の付いた「さしゃり(れ)ます」の音変化》上一段・上二段・下一段・下二段・カ変動詞および一部の助動詞の未然形に付く。丁寧の意を含んだ尊敬を表す。…なさいます。→しゃんす
「黙って聞いてゐさしゃんせ」〈浄・盛衰記
[補説]近世前期の女性語。「さっしゃす」の形をとることもあり、「さしゃる」よりも敬意が高いという。

さしゃん・す[動]

[動サ特活]《サ変動詞「す」の未然形「せ」に尊敬の助動詞「さしゃんす」の付いた「せさしゃんす」の音変化か》「する」の意の、丁寧の意を含んだ尊敬語。なさいます。
「どうなりと―・せ」〈浄・大経師
[補説]活用は「せ・し・す・す・すれ・せ」。なお、実際には「せさしゃんす」の例は認められない。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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