こっぽり

精選版 日本国語大辞典 「こっぽり」の意味・読み・例文・類語

こっぽり

[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 中のうつろな物がぶつかって立てる音を表わす語。
談義本・つれづれ睟か川(1783)三「こっぽりこっぽりと引摺(ひきずる)ひきずり下駄
② 全部がおおわれるさまを表わす語。すっぽり。
浄瑠璃妹背山婦女庭訓(1771)二「こっぽりかぶる蒲団より早とろとろの草臥(くたびれ)寝入り」
③ ふっくらと盛り上がっているさまを表わす語。こんもり。
※母と子(1914)〈里見弴〉「顔の方は、〈略〉コッポリとした布団のふくらみの向ふで少しも見えなかった」
[2] 〘名〙 (歩くときの音から) 裏をくりぬいてある下駄。多く舞妓や女児が用いる。ぼっくり。ぽっくり。こっぽりげた。
洒落本・雲井双紙(1781)「振袖芸者はこっぽりに耳をおどろかし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のこっぽりの言及

【下駄】より

… 下駄は連歯と差歯に分けられ,連歯のうち二つ歯を駒下駄(関西で真(まさ)下駄)といい,おいらんの道中にはくものは三つ歯下駄という。台裏をくり抜いたものはぽっくり(こっぽり)下駄で,これの低いものを舟底下駄という。台裏を斜めに切り後ろに歯のあるのがのめり下駄(神戸下駄),後ろを丸く削ったものが後丸下駄である。…

【ぽっくり】より

…青森県ではガッパ,長野県ではポンポンと呼ぶが,いずれもこの下駄をはいて歩くときの音から名付けられた。江戸時代の《短華蘂葉》(1786)には,〈やきすぎ(焼杉)のこっぽり〉とあり,このころより出現したらしい。明治時代のぽっくりには台横に1本の縦溝が入ったものがあり,二つの台からなる中折り下駄や台底をく(刳)った舟底下駄と関連があろう。…

※「こっぽり」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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