くすむ(読み)クスム

デジタル大辞泉 「くすむ」の意味・読み・例文・類語

くす・む

[動マ五(四)]
黒ずんだ渋い色になる。または、すすけたようなさえない色になる。「―・んだ茶色
目立たない地味なようすになる。「―・んだ存在
生気を失う。もの思いに沈む。「暗く―・んだ顔つき」
不愛想に振る舞う。しかつめらしくする。
「笑へと仰せらるるにより、―・まるる、何がな思ひいだいて笑はうやれ」〈虎明狂・筑紫の奥
[類語](1ほこりっぽい汚いむさくるしい汚らしい小汚い薄汚いけがらわしいばっちいむさい泥まみれ不潔不浄不衛生不純尾籠びろう醜悪見苦しいみすぼらしいぼろいぼろぼろおんぼろよれよれがたがたぽんこつ老朽化汚穢おわい汚れ物汚濁けがれよごれ汚点汚染薄汚れる汚れるすすけるあかじみるまみれる油じみる汗じみるみっともないはしたない醜態老醜無様ぶざま不格好醜いしゅうばばっちいしどけない目障りじじむさいかっこ悪いださい野暮野暮ったい泥臭い不細工田舎臭い不体裁グロテスク不器量弊衣破帽だらしない醜怪浅ましい見辛い見るに見兼ねる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「くすむ」の意味・読み・例文・類語

くす・む

〘自マ五(四)〙
① きまじめな様子をする。しかつめらしい様子をする。重々しく構える。
※歌謡・閑吟集(1518)「くすむ人は見られぬ、ゆめのゆめのゆめの世を、うつつがほして」
※仮名草子・ぬれぼとけ(1671)中「くすむでわれにおもはせぶりはいやならおきやれふつとやめべい」
② 落ち着いて渋い様子になる。地味になる。黒ずむ。
※大般若経字抄(1032)「(クスム)
※宗五大草紙(1528)衣装の事「人の衣裳は〈略〉ちとくすみて出立たれ候がよく候ふ由」
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉二「くすんだ鼠縞の袖の下から」
③ 若々しさや生気を失った様子になる。しょげる。また、もの思いに沈む。
※伊勢貞親教訓(1457‐60頃)「若者のさのみくすみて、相撲力態鷹などけ嫌ふは悪き也」
※病院の窓(1908)〈石川啄木〉「顔は忽ち燻んで、喉がセラセラする程胸が苛立つ」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉四「丈夫何時までか田舎にくすんで、読本綴書の教師で居やうぞ」
⑤ ぱっとしない状態になる。さえないさまになる。
解剖室(1907)〈三島霜川〉「さて風采のくすむだ学士が、態度も顔もくすむだ方で」

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