くじゃく石(読み)くじゃくいし(英語表記)malachite

翻訳|malachite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「くじゃく石」の意味・わかりやすい解説

くじゃく石
くじゃくいし / 孔雀石
malachite

もっとも普通の銅の二次鉱物。同化学組成のジョージ石georgeiteとは同質異像関係にあるとされるが、計算値のH2Oを加えた分析値の合計が100%に達しないため、これが過剰の水分を含んでいる可能性もある。くじゃく石は、各種銅鉱床、とくに接触交代鉱床スカルン型鉱床)あるいは炭酸塩を脈石とする鉱床の酸化帯中に産し、ほかの銅、亜鉛、鉛の二次鉱物と共存する。中性からアルカリ性の条件下での産物である。自形は柱状ないし毛状、あまり大きくはならない。多量に産すれば銅の鉱石鉱物となり、また良質のものは岩絵の具の原料ともなる。酸で発泡して溶解する。和名は、美しい緑色の外観と、層状をなして産する断面が、クジャクの羽の模様に類似していることによる。英名は植物のゼニアオイを意味するギリシア語の「マラキ」に由来し、その葉の色がこの鉱物を連想させることによる。

加藤 昭]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「くじゃく石」の解説

くじゃく石
クジャクセキ
malachite

Cu2(OH)2CO3.銅鉱床の酸化帯などに鮮やかな色をなして産出する.単斜晶系,空間群 P 21/a,格子定数 a0 = 0.950,b0 = 1.197,c0 = 0.324 nm.β = 98°45′.単位胞中に4個の基本組成が含まれる.密度4.05 g cm-3.硬度3.5~4.柱状結晶として産出することもあるが,多くは繊維状,放射状の集合体として産出し,表層はぶどう状,花弁状などを呈する.へき開{01}完全.金剛光沢,繊維状集合体では絹糸光沢,緑~黒緑色で飾石に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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