ぎやどぺかどる

精選版 日本国語大辞典 「ぎやどぺかどる」の意味・読み・例文・類語

ぎやどぺかどる

(Guia do Pecador) キリスト教黙想書。上下二分冊。標題下に「罪人を善に導くの儀也」とある。日本イエズス会版の金属活字による国字本。慶長四年(一五九九)長崎学林刊。ドミニコ会ルイス=デ=グラナダ原著(一五五六年初版、リスボン刊)の一五七三年ポルトガル語版による抄訳本といわれる。上下巻末にルビ付き字集を付す。一六〇六年頃増補新版刊行の蓋然性も高い。完本として大英図書館、バチカン図書館蔵本が知られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ぎやどぺかどる」の意味・わかりやすい解説

ぎや・ど・ぺかどる

日本イエズス会出版のキリシタン版の一つ。1599年(慶長4)日本学林(コレジヨ)で印刷。原著はスペイン人修道士ルイス・デ・グラナダの《Guia de pecadores》(1555)。本書はポルトガル語訳《Guia do pecador》の日本語抄訳で,上下2巻,2冊からなる。欧字欧文入りで,初めて,でうすなど4語の洋語略符号を交えた漢字ひらがな本。表題の下に〈罪人を善に導くの儀也〉とあるように,信仰修養の書として知識階層のキリシタンに広く読まれた。新・旧約聖書聖人の著書からの引用が多く,訳文は和漢洋語を駆使して新文体を開き,内容,形式ともにキリシタン文学の中で重要な地位を占めている。バチカンなど9図書館に現存。《日本古典全集》(第2期)所収。
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百科事典マイペディア 「ぎやどぺかどる」の意味・わかりやすい解説

ぎやどぺかどる

初期キリシタン版一種。1599年刊。上下2冊。副題に〈罪人を善に導くの儀也〉。スペインの神秘神学者ルイス・デ・グラナダ著《Guia de Pecadores》(1555年)の訳書。救霊,修徳指針として,神の十戒を解説。用字国字で外国語には半濁音符を用いるなど,のちのキリシタン国字版の範となった。

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