きと

精選版 日本国語大辞典 「きと」の意味・読み・例文・類語

き‐と

〘副〙 (副詞「きっと」のもとの形)
動作が瞬間的に集中して行なわれるさま。すばやく。さっと。
※竹取(9C末‐10C初)「率ておはしまさん人とて御輿(こし)を寄せ給ふに此のかぐや姫きと影に成りぬ」
② そうしようとする意図なしに、ある状態に入る、また、ある動作を始めるさま。ふと。ちょっと。
古本説話集(1130頃か)六五「三日といふひるつかた、きとまどろませ給ともなきに」
③ 動作、状態などが、確固としていてゆるみのないさま。しっかりと。きっぱりと。
※枕(10C終)六三「烏帽子の緒きとつよげに結ひ入れて」
④ 自分の意志、意図が確固としているさま。必ず。是が非でも。
平家(13C前)三「申すべき事あり。きと立ち寄り給へ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「きと」の意味・読み・例文・類語

き‐と

[副]
動作が瞬間的に行われるさま。急に。とっさに。
「御輿を寄せ給ふに、このかぐや姫―影になりぬ」〈竹取
特に意図せずにある動作をするさま。思わず。ふと。
「―寝入りたりけるに」〈梁塵秘抄口伝・一〇〉
ゆるみなく、厳しく動作をするさま。きつく。しっかり。
「蛇を鷲爪わしづめを以てつかみて、―引きて踏まふれば」〈今昔・二九・三三
必ず。確かに。
「その鳥―参らせよ」〈弁内侍日記

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