がらり(読み)ガラリ

デジタル大辞泉 「がらり」の意味・読み・例文・類語

がらり

[副]
引き戸などを勢いよく開ける音を表す語。「ガラス戸がらりと開ける」
堅い物がぶつかり合って立てる大きい音を表す語。「重ねた木箱がらりと崩れた」
事態が急激に、すっかり変わるさま。「人柄がらりと変わる」
[名]がらり板(羽板)を取り付けた窓や扉。
[類語]ちゃらちゃらちゃりんじゃらじゃらちりんちりんがちゃがちゃかたりがたりかたんがたんかたかたがたがたかたことがたごとことことごとごとことりごとりことんごとんこんこんこんごんごんがつんこつんごつんかちゃかちゃかちりかちかちこつこつどんとんとんとんどんどんかちゃりがちゃりかちゃんがちゃんかちんがちんからからがらがらかんかんがんがんどたどたどかどかどっとどすどすどしどしばんばんぽんぽんどてんどたんどたりすとんずどんずしんずしりどすんどさりどしりどかんどしんばあんぱあんぱたりばたりばたんぼおんぽおんぽんとぽんぽこぼこぼこぽこぽこぽくぽくちんちんやかましいうるさい騒騒しい騒がしいかまびすしいかしましいにぎやか騒然喧騒喧喧囂囂けたたましい

がらり

[副]
残らず。そっくり。
山城屋といふくつわへ…命―に身を売りて」〈浄・淀鯉
即座に。すぐさま。
「それ縛れと言ふや否や、―後ろ手三寸縄」〈浄・兜軍記
[名]給料などを前もって全額渡すこと。前払い
「こなたは乳ぶくろもよいによって、―に八十五匁」〈浮・胸算用・三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「がらり」の意味・読み・例文・類語

がらり

[1] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる。古くは「ぐゎらり」「ぐらり」と表記した例もある)
① 堅い物がぶつかり合って立てる音を表わす語。「からり」よりやや濁った感じがある。〔日葡辞書(1603‐04)〕
婦系図(1907)〈泉鏡花〉後「車はがらりと石橋に乗懸って」
② そこにあるものを全部投げ出す音、また、物が崩れる音などを表わす語。
浄瑠璃吉野忠信(1697頃)二「番の者共はらを立〈略〉小がいな取て引出せど〈略〉ちっ共動く気色なく、一度にぐらりと投げ倒し」
③ 戸、障子などを急に勢いよくあける音、また、勢いよくあけ放つさまを表わす語。
※浄瑠璃・女殺油地獄(1721)下「すきを見合、くぐりぐらりとにげ出る」
人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「破戸(やぶれど)らりと押あけて」
④ 明るく晴れわたるさま、また、すっかりあけたさま、明るく広々しているさまを表わす語。
※雑俳・伊勢冠付(1772‐1817)「くもり日・グヮラリと寺が明いて居」
物事、状態が、急にすっかり変わるさまを表わす語。
※絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初)「既に丸木橋を渡れば、(ひいや)りと気が付て、大橋を渡るときは、ぐゎらりと窕(くつろい)で通るは、常人の意じゃ」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「ガラリ気が変って」
⑥ 残るところのないさまを表わす語。すっかり。残らず。
※浄瑠璃・天鼓(1701頃)三「十二ひとへひの袴ぐらりとぬいでしろむくに」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の人生観「何しろ〈略〉義理も、家の病人の事も何もかも一旦がらりと忘れちまふんですから」
[2] がらり板を取り付けた窓、戸など。〔日本建築辞彙(1906)〕

がらり

[1] 〘副〙 (「に」を伴うこともある)
① そっくりそのまま。全部。
※雑兵物語(1683頃)上「鑓をぬくべいと思ったれば、塩首がひっかかって〈略〉がらり鑓をひったくられた」
② 即座に。ひょいと。
※浄瑠璃・壇浦兜軍記(1732)二「それ縛れといふや否やがらり後手三寸縄」
[2] 〘名〙 (そっくり、全部の意から) 一度に先払いで、給金、身請金などを全額前渡しすること。
※浮世草子・好色貝合(1687)下「凡そ色女の給分今は衰えて三百目より八十匁までのがある也。分(わき)て見よいのは、かしらに給銀皆取るをがらりといふ也」
※浄瑠璃・長町女腹切(1712頃)中「がらり廿両、ま一年切まし、居なりに居れば、借金も先づ其分」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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