かわた百姓(読み)かわたひゃくしょう

世界大百科事典(旧版)内のかわた百姓の言及

【被差別部落】より

…キリシタン宣教師ルイス・フロイスの言によると,〈かわた〉と同じくこの時期に,〈死んだ獣類の皮を剝いでその皮を売〉って生活していた〈えた〉は,〈最も卑しい,仲間外れにされた賤民〉であり,〈まるでほかの人たちと交際するに価しない不浄な人たちのように,いつでも村落から離れて住んでい〉たといわれており(《日本史》),〈えた〉と〈かわた〉との共通性は明白であろう。しかし同時に,こうした観察記録からの印象や,〈被差別〉ということから受ける印象を一面的にたもつことによって,一概に彼らが〈悲惨な貧窮民〉であったかのように考えてしまうのは,けっして適切ではなく,少なくとも近世初頭の近畿地方の実例では,〈かわた百姓〉たちの農地保有高は他の百姓の場合に比して遜色(そんしよく)がないどころか,むしろそれを越えるものも少なくはなかった。〈かわた〉のすべてが皮革生産の専業者というわけでなく,皮革生産とあわせて農耕に従事し,〈百姓〉としての性格を強めていた〈かわた百姓〉も多数いたのである。…

※「かわた百姓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」