かみのけ座(読み)かみのけざ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「かみのけ座」の意味・わかりやすい解説

かみのけ座
かみのけざ / 髪座

春先の宵、ほとんど頭上に、小さな星の群れが三角形状のかたまりになって見える淡い星座。この星の群れは、距離261光年のところにある散開星団で、星団が星座になっている珍しい例である。エジプト王エウエルゲテス(プトレマイオス3世)の妻ベレニケが、夫の戦勝を願ってその美しい髪を祭壇に捧(ささ)げたという一部史実に基づいた話が伝えられ、かつては「ベレニケの髪座」とよばれた。銀河座標北極に位置する。

[藤井 旭]

『藤井旭著『春の星座』(1989・金の星社)』『小林悦子文、藤井旭写真『春・夏の星座』(1992・講談社)』『デイビッド・マリン著、長谷川哲夫訳『デイビッド・マリンの驚異の大宇宙』(2000・ニュートンプレス)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「かみのけ座」の意味・わかりやすい解説

かみのけ座
かみのけざ
Coma Berenices

髪座。5月末の宵に南中する北天の星座。赤経約 12時40分,赤緯約 23°で,しし座うしかい座の間にある。微光星ばかりであるが,星座の南からおとめ座にかけてはおびただしい数の銀河があり,特に天球上で直径約 6°の範囲に約 1000個の銀河が密集した集団は,かみのけ座銀河団と呼ばれる。この銀河団は地球から約 3億光年の距離にあり,秒速 6700kmの平均速度で遠ざかっている。神話によると,かみのけ座はエジプト王妃ベルニケが戦勝祈願を聞き届けてくれた女神アフロディテに捧げた彼女の金髪であるという。

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