雄蕊(読み)おしべ

精選版 日本国語大辞典 「雄蕊」の意味・読み・例文・類語

お‐しべ を‥【雄蕊】

〘名〙 種子植物の、雄性生殖器官。普通、柄状の花糸と、その先端にあって内部花粉をつつむ葯(やく)から成っている。雄蕊(ゆうずい)。⇔雌蕊(めしべ)。〔植物小学(1881)〕

ゆう‐ずい【雄蕊】

〘名〙 =おしべ(雄蕊)〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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デジタル大辞泉 「雄蕊」の意味・読み・例文・類語

お‐しべ〔を‐〕【雄×蕊】

種子植物の花の雄性の生殖器官やく花糸からなり、葯の中に花粉を形成する。ゆうずい。⇔雌蕊めしべ
[類語]しべ花蕊かずい花心雌蕊めしべ雌花雄花子房柱頭花粉受粉

ゆう‐ずい【雄×蕊】

おしべ」に同じ。⇔雌蕊しずい

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改訂新版 世界大百科事典 「雄蕊」の意味・わかりやすい解説

雄蕊 (おしべ)
stamen

〈ゆうずい〉ともいう。種子植物の花を構成する要素のうちの雄性器官で,花粉を入れる葯anther(小胞子囊)とそれを支える花糸filament(小胞子葉)からなる。異型胞子性シダ植物群の小胞子葉と形態的に相同である。おしべはその棒状の形からライニアマツバランなどのように軸の先端に胞子囊がついたものであり,軸的器官に由来するとみる考え方がある。たしかに裸子植物の一つであるグネツム綱の雄花はその構成から軸上に胞子囊がついているとみなしうる。しかしソテツのおしべ(または小胞子葉)は葉的で,多数の小胞子囊が生ずる。また原始的な被子植物では花糸と葯はまだはっきりと分化しておらず,おしべは幅広く,多少葉に類似した器官のように見え,葯は胞子葉の中央につく。このようなものを面生型とよぶ。この型から葉的な不稔性部分が退化し,葯は花糸の縁に,さらにその先端部につくようになり,葯と花糸の分化が起きる。葯は裂開して花粉(小胞子)を出すが,普通は縦に長く裂ける縦裂開である。しかし裂開する部分が葯の先端部に限定されるようになると孔開と呼ばれ,ナス,トマト,ツツジなどにみられる。さらに裂開部が2ヵ所になると弁状になり穴があくため弁開と呼ばれるるが,これは,メギ科クスノキ科などに知られている。原始的被子植物ではおしべは多数あり,らせん配列をするが,多くは花被の数と同数あるいはその倍数でしかも輪生配列となる。また分裂により二次的に増数したものがあり,メヒルギのようにしばしば束状となることもある。レンプクソウなどでは個々のおしべが縦に割れたため半葯となったり,ヤナギのように2本のおしべが合着し,おしべの先に二組の葯がついているようにみえるものもある。なお葯には普通四つの花粉室が生ずるが,生長するにつれ二次的に隔壁破れ,多くのものでは葯が2室となる。オヒルギでは花粉室に二次的に多数の隔壁が形成され多室となる。なお雌花のおしべのように,葯や花糸が未発達ないし痕跡的なものを仮雄蕊(かゆうずい)と呼ぶ。

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雄蕊 (ゆうずい)

雄蕊(おしべ)

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百科事典マイペディア 「雄蕊」の意味・わかりやすい解説

雄蕊【ゆうずい】

おしべ

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世界大百科事典(旧版)内の雄蕊の言及

【おしべ(雄蕊)】より

…オヒルギでは花粉室に二次的に多数の隔壁が形成され多室となる。なお雌花のおしべのように,葯や花糸が未発達ないし痕跡的なものを仮雄蕊(かゆうずい)と呼ぶ。【福岡 誠行】。…

【花】より

…例えばソテツ,イチョウ,マツなどの裸子植物の生殖器官を含めたり,さらには胞子生殖をするツクシの穂をも花とする見解もある。
[花の概念]
 被子植物の花は見かけ上はさまざまな形があるものの,基本的には同じで,小胞子葉と大胞子葉にそれぞれ相同なおしべとめしべ,さらに萼と花冠があり,それらが付着する花托からなっている。裸子植物の生殖器官には,萼や花冠はないが,軸の先に小胞子葉や大胞子葉が集まったものであり,シダ植物の胞子囊穂(ほうしのうすい)も胞子葉や胞子囊托が集まったものである。…

※「雄蕊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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