うたてし（読み）ウタテシ

精選版 日本国語大辞典

うたて‐し

〘形シク〙 ＝うたてい

※撰集抄（1250頃）九「げに前(さき)の世の宿習の程思ひ知られ侍りて、うたてしく侍りしが」

うたてし‐さ

〘名〙

うたて‐・し

〘形ク〙 ⇒うたてい

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

うたて・し

［形ク］
１ 嘆かわしい。情けない。
「常に思ひ嘆くと聞きはべれば、いと―・くなむ」〈宇津保・蔵開上〉
２ 気に入らない。いやだ。
「こちたく酔ひののしりて、―・くらうがはしき事ども」〈栄花・つぼみ花〉
３ 心が痛む思いである。気の毒だ。
「うたれさせ給ひけん宮の御運のほどこそ―・けれ」〈平家・四〉
４ 感じがよくない。気味が悪い。
「なんと旦那、―・い所ぢゃござりませぬか」〈浄・摂州渡辺橋供養〉
[補説]鎌倉時代ころから「御前に人一人も候はざらんが無下にうたてしう覚え候」〈平家・四〉のようにシク活用の例も見いだせる。

出典　小学館