精選版 日本国語大辞典「あ」の解説

〘感動〙
① 驚いたり感動したりしたときに発する声。あっ。
※霊異記(810‐824)中「噫(ア)乎母の(あま)き乳を捨てて我死なむか〈国会図書館本訓釈 噫 〉」
太平記(14C後)一二「『あ射たり射たり』と感ずる声」
② 人に呼び掛けるときの語。
源平盛衰記(14C前)六「主人あといへば、郎等さと出づべき体なり」
③ 人の呼び掛けや、話に答える語。狂言では、多く不承知の場合に言う。→ああ(嗚呼)③。
古本説話集(1130頃か)六七「いかがはせむとて、ただ『あ』と、ことうけをしゐたり」
※虎寛本狂言・末広がり(室町末‐近世初)「『あちへうしよ』『ア』『アアとはおのれにくいやつの』」
④ がっかりしたり、いやになったりしたときに発する語。
※薄衣(1899)〈永井荷風〉一「あ、何だか陰気臭くって為様が無い」
⑤ 相手のことばに安心したり、思いついたことを口に出したりする際に発する語。
※火の(1904)〈木下尚江〉二九「ア、其れで安心致しました」
[補注]①の例「霊異記」の「噫乎」は、「アア」と読む可能性もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「あ」の解説

五十音図第1行第1段の仮名。平仮名の「あ」は「安」の草体から、また、片仮名の「ア」は「阿」のから変化してできたものである。万葉仮名では「阿、安、婀、鞅(以上音仮名)、足(訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(阿)」「(愛)」「(悪)」などがある。

 音韻的には、5母音の一つ/a/にあたる。東京語などでは、奥舌の[a]よりもやや舌が前寄りで、口の開きの大きい中舌広母音である。ア段長音の引き音節部分を、「おかあさん」「おばあさん」などのように表しもする。また表記上はアであっても、音の連なり方によって、「ピノ→ピノ」「バイ(場合)→バイ/バイ」「オンイ(恩愛)→オンイ」などと発音されたりする。

 なお「阿吽(あうん)の仁王」「阿吽の呼吸」などと使われる「阿吽」の「阿」は、悉曇(しったん)十二母音の初音で、物事の初めの意で用いられ、口を開いた形相や吐息をも表す。

[上野和昭]

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デジタル大辞泉「あ」の解説

あ[感]

[感]
何かを急に思い出したりしたときに思わず発する語。あっ。「、しまった」
呼びかけに用いる語。
「主人―と言へば、郎等さと出づべき体なり」〈盛衰記・六〉
応答に用いる語。はい。
「いかがはせんとて、ただ―と、言請ことうけをしゐたり」〈古本説話集・六七〉

あ[五十音]

五十音図ア行の第1音。五母音の一。後舌の開母音。[a]
平仮名「あ」は「安」の草体、片仮名「ア」は「阿」の偏から変化したもの。

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