あわや(読み)アワヤ

デジタル大辞泉 「あわや」の意味・読み・例文・類語

あわ‐や〔あは‐〕

[副]危険などがその身に及ぶ寸前であるさま。あやうく。「あわや人にぶつかるところだった」「あわや、と思ったときに夢から覚めた」
[感]事の起ころうとするとき、驚いたときなどに発する語。
「―、法皇の流されさせましますぞや」〈平家・三〉
[補説]は、幸運な出来事については使わない。「あわや宝くじの一等に当選するところだった」などとするのは誤り。
[類語]えんやらやっとやっとのことでどうにかこうにか間一髪どうにかやっとようやく何とかかろうじてからくも危うく危なくすんでのところですんでのことやっとこさ九死に一生を得るすれすれようようようやっとどうかこうかかつがつどうやらこうやら曲がりなりにもまだしもまだすんでにまあまあまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずかすかすどうやらなんとかかんとかそこそこそれなり増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ

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精選版 日本国語大辞典 「あわや」の意味・読み・例文・類語

あわ‐や あは‥

[1] 〘感動〙 何か事の起ころうとする時や驚いた時に発することば。ああまあ。ああっ。あれっ。
※大鏡(12C前)五「御口はこころよくゑませ給ひて、あはや、宣旨くだりぬとこそ申させ給ひけれ」
読本・椿説弓張月(1807‐11)拾遺「為朝吐嗟(アワヤ)とうち驚く、顔色(けしき)を暁得(さと)られじと」
[2] 〘副〙 あぶなく。もう少しで。
※浄瑠璃・義経千本桜(1747)五「我もと覚範つづいて飛。あはや高紐総角(あげまき)が、枝にかかってぶらぶらぶら」
※暴夜物語(1875)〈永峰秀樹訳〉魔君商人の物語「既に商人を捉らへ、険些児(アハヤ)一刀の下に両段となさんとするとき」
[語誌]王朝仮名文学では、遠称代名詞「あ」に助詞「は」の接した「あは」の語形でアレハという意味を表わした。この用法は平安時代から鎌倉時代にかけて驚きの感動詞に転じ、さらに感動の助詞「や」を伴って「あはや」の語形を生じた。

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