百科事典マイペディア 「《悪魔の詩》事件」の意味・わかりやすい解説 《悪魔の詩》事件【あくまのうたじけん】 イスラム教徒の両親をもつインド生れのイギリスの作家サルマン・ラシュディの幻想小説《悪魔の詩》をめぐる事件。1989年2月,イランの最高指導者ホメイニーは,同作品がイスラムを冒涜したとしてラシュディに死刑を宣告。これに対して欧米諸国は,人権,言論の自由,国家主権の侵害として強く反発した。しかし翻訳者や出版関係者が殺害される事件が発生し,イランは国際的批判を浴び孤立化を深めた。死刑宣告は1989年6月のホメイニー死去後も有効とされていたが,イランは1995年5月,宣告は不変であるが国家として暗殺部隊を送らないとの姿勢を明確にし,国際関係は改善に動きだした。日本語版《悪魔の詩》の訳者殺害事件との関係は不明。 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報