精選版 日本国語大辞典 「願」の意味・読み・例文・類語
ねが・う ねがふ【願】
① 神仏に望むところを請い求める。いのる。祈願する。
② 特に、極楽往生を求めて信心する。
※源氏(1001‐14頃)明石「のちの世にねがひ侍ところのありさまも思ふ給へやらるる夜のさまかな」
※山家集(12C後)中「露と消えば蓮台野にをおくりおけねがふ心を名にあらはさん」
③ 心の中で望ましい物事の実現や獲得を請い求める。のぞむ。ほしがる。希望する。
※万葉(8C後)五・九〇四「世の人の 貴(たふと)び慕(ねがふ) 七種(ななくさ)の 宝も我は 何せむに」
※霊異記(810‐824)下「遠く前の非を愧(は)ぢ、長に後の善を祈(ネカフ)」
④ 上位の者や役所などに処置をしてくれるよう希望を申し立てる。請願する。願い出る。訴え出る。
ねがい ねがひ【願】
〘名〙 (動詞「ねがう(願)」の連用形の名詞化)
① 神仏に祈り願うこと。また、その事柄。願(がん)。祈願。
※源氏(1001‐14頃)総角「ただしばし、ねかひの所を隔たれるを思ふなん、いとくやしき」
② 極楽往生を求めること。
③ こうあってほしいと望み願うこと。また、その内容。希望。期待。
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「慕(ネカヒ)を懐きて遍く殊の方に歴(へ)」
④ 役所などに願い出ること。また、その願書。
ねがわし・い ねがはしい【願】
〘形口〙 ねがはし 〘形シク〙 (動詞「ねがう(願)」の形容詞化) 望むところを乞い願う状態、ほしいと思う状態であるさま。また、心にかなうさま。のぞましい。
※山田本妙法蓮華経平安初期点(830頃)「世尊願楽(ネガハシク)して聞かまく欲はし」
※徒然草(1331頃)一「この世に生まれては、ねがはしかるべき事こそ多かめれ」
ねがわし‐さ
〘名〙
がん グヮン【願】
〘名〙 願うこと。特に、神仏に祈り、願うこと。また、その内容。願い。
※性霊集‐序(835頃)「天随二其願一果擢二求法一」
※源氏(1001‐14頃)須磨「多く立てつる願の力なるべし」 〔史記‐蔡沢伝〕
がん‐・ずる グヮン‥【願】
〘他サ変〙 ぐゎん・ず 〘他サ変〙 神仏に祈願する。心に願う。
※観智院本三宝絵(984)中「蘇我大臣又かくのごとく願じて軍をあつめてすすみたたかふに」
ねがわし ねがはし【願】
〘形シク〙 ⇒ねがわしい(願)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報